発熱診療Developmental Disorder
発熱とは
発熱とは「病的な状態」であり「体温上昇」や「高体温症」とは異なります。
からだではいつもエネルギー:「熱」が産生されており、「平熱が高い・低い」とか「代謝が悪い」「冷え性」などと表現されます。 産生された熱は体表面から放散されており、体温調節はこの「産生」と「放散」のバランスによって行われています。
例えば、極めて乾燥した環境では、蒸発による体表面での熱放散が促進され50℃を超えても耐えることができます。逆に湿度が高い環境下では、蒸発できず高体温となります。高体温も持続すると病的な状態となります。代表的な病態に熱中症があります。
また、体温はメラトニンというホルモンによって一日のあいだでも変化します。メラトニンには毛細血管を拡張させる作用があり、手足の血流を増やして熱放散を増やし体温を下げます。深夜に血中濃度が最も増加し、日中はほとんど分泌されません。したがって、わたしたちの体温は早朝に最も低くなり、夕方に高くなります。
一方で、発熱とは、白血球などの免疫担当細胞が何らかの発熱物質を貪食し、プロスタグランディンE2が体温調節中枢に作用した時に起こる反応です。 すなわち、プロスタグランディンE2が関与しない体温上昇は発熱とは言いません。 平熱の時に(プロスタグランジンE2を抑制する)解熱鎮痛薬を内服しても体温は下がらないのはそのためです。
発熱の一般的な原因として、
- 1.新型コロナ・インフルエンザ・風邪・腎盂腎炎などの「感染症」
- 2.全身性エリテマトーデス・血管炎・成人スティル病・偽痛風などの「リウマチ性疾患」
- 3.血液疾患・悪性リンパ腫などの「腫瘍性疾患」
- 4.抗菌薬・抗けいれん薬・痛風治療薬などの「薬剤熱」
があります。