呼吸器内科Pulmonology

こんな症状でお困りの方は…

  • 花粉症がひどい。
  • 健康診断の結果で、胸部レントゲンの所見が気になる。
  • 咳や痰が長引いている。
  • 痰に血が混じる。
  • COPDで通院中だが、大きな病院へ受診することが時間的に億劫だ。
  • 肺がんで通院中だが、大きな病院と連携しながら自宅で過ごしたい、仕事も続けたい。
  • ゼイゼイいう。
  • タバコが止められない。
  • いびきがある、寝ている時に息が止まる。

1.肺がん

肺がんは40歳代後半から増加し始め、高齢になるほど高くなります。
男女別では、男性は女性の2倍以上になっています。
肺がんはたばことの関連が非常に大きいがんです。
研究によると、たばこを吸わない人に比べて、吸う人が肺がんになるリスクは男性で4.4倍、女性で2.8倍と高くなります。
一方で、肺の腺がんと大細胞がんは、肺の奥に発生するがんで、たばことの関連が小さいといわれてきました。
ところが最近の見解では、たばこを吸う人は吸わない人 に比べて、男性では2.8倍、女性では2.0倍このタイプのがんにかかりやすいという結果でした。確かに腺がんではたばこの影響の程度は小さいですが、たばこを吸わない人に比べて吸う人の方 で腺がんの発生率が高いことには変わりありませんでした。
また、たばこを吸わない人でも受動喫煙により発症する危険性が高まることもわかっています。喫煙以外では、慢性閉塞性肺疾患(Chronic ObstructivePulmonary Disease:COPD)、職業的曝露(アスベスト、ラドン、ヒ素、クロロメチルエーテル、クロム酸、ニッケルなどの有害化学物質にさらされている)、大気汚染(特に粒径2.5ミクロン以下の微小浮遊粒子[PM2.5]が浮遊している)、肺がんの既往歴や家族歴、年齢などが発症する危険性を高めると考えられています。

2.COPDの治療

慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、以前から肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。
タバコを主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に、高齢者に発症する生活習慣病といえます。その多くが未診断、未治療の状態であり、だんだんと階段を上った時の息切れや、せき・たんが出現するようになります。また、COPDは全身の炎症、筋肉の機能障害、栄養障害、骨粗鬆症などをともなう全身性の疾患です。これらの肺以外の症状が重症度にも影響を及ぼすことから、併存症も含めた病状の評価や治療が必要になります。

3.睡眠時無呼吸症候群の診断と治療

睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。
医学的な定義では、10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」や、呼吸が弱くなる「低呼吸」が、1時間あたり5回以上繰り返される状態をいいます。 高血圧をはじめ心臓・血管系の病気や多くの生活習慣病と関連しており、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患や脳卒中の発症にも関連があります。 また、低酸素状態になると、脳が目覚め熟睡できず、慢性的に睡眠の質が低下します。
その結果「日中の眠気」や「倦怠感」などがあらわれ、仕事に支障をきたすようになります。
例えば、交通事故の事故率が約3倍以上にも上昇するといわれており、心筋梗塞や脳卒中の原因になることを考えると、SASは交通安全にも影響を与えます。

4.アレルギー性鼻炎の治療

アレルギーは我々が持っている体の防衛反応が過剰になるため、出現する症状です。
近年、増加の一途を辿っており、生活習慣や住環境の変化はその一因となっています。
原因精査や薬物治療はもちろんのこと、生活環境に対する知識・工夫が必要です。2020年より、重症のスギ花粉症に対して、2~4月限定で抗IgE抗体オマリズマブ(ゾレア®)を皮下注射する抗体療法を行うことができるようになりました。
スギ花粉症によるくしゃみ・鼻水がとまらない・鼻づまりがひどいといった鼻炎症状が従来の薬物療法を行ってもおさまらず1日中鼻をかんでいるといった方、ヒスタミン薬の眠気が強く、より強力な効果が期待できる薬に変更・増量できないために鼻炎症状がおさまらない方にとっては検討する価値の高い治療です。 また、鼻症状だけでなく、眼のかゆみや充血などの眼症状も同時に抑えられると報告されています。

5.気管支喘息の診断・治療

気管支喘息は気道に炎症が続き敏感になり、発作を起こすと気道が狭くなる病気です。
日本では、子供も大人も約10%の方が喘息です。
ご高齢になってから発症される方もおられます。原因はダニやほこり、猫の毛、カビなどアレルギーによることが多いのですが、ウィルス感染であったり、その原因が特定できないこともあります。診断は、痰の検査、呼気の一酸化窒素濃度などを測定して気道の炎症がないかどうか、血液検査でアレルギー体質かどうか、そして気管支拡張薬吸入への反応性で、総合的に診断します。ごくわずかな気道の炎症が続けば、いずれまた発作が起こり、気道が元に戻らなくなってしまいます。そうなってしまうと、治療によって症状をおさえることが困難になります。したがって、早い段階で吸入ステロイド薬を使って炎症を抑え込む必要があります。適切に使用すれば副作用は少なく安全な薬です。喘息の重症度に応じてその量を調整したり、他の薬を追加したりします。
また、アレルギーの原因が分かっている場合はそれらを避け、喫煙していれば禁煙とします。

6.胸部レントゲン検査

胸部レントゲンはいろいろな胸部疾患の診断に非常に有益な検査で、健康診断にも必須の検査です。
しかしながら、胸部レントゲン写真による診断の第一は、医師の読影力、診断力にあります。
これには、胸部画像診断に精通した呼吸器内科医に診断していただく事が第一です。
当院には経験豊かな呼吸器内科常勤医が常勤しています。症状がある時にはもちろん、健康診断やセカンドオピニオンにもぜひご受診ください。

7.肺非結核性抗酸菌症

肺非結核性抗酸菌症は気道局所のみが障害されるタイプ(結節気管支拡張型)と肺実質が障害されるタイプ(繊維空洞型)の2つのタイプに大別されます。日本で最も多い非結核菌抗酸菌はMAC(マック, 80-90%)で、MACによる肺非結核性抗酸菌症を肺MAC(マック)症と呼びます。
非結核性抗酸菌は、水や土、ほこりなどの環境中に存在し、日常生活で非結核性抗酸菌を気道に吸い込んで暮らしています。
健康な人は、気道の浄化機能によって速やかに非結核性抗酸菌が排除されます。
ところが、気道浄化機能が低下すると、気道に非結核性抗酸菌が増殖してしまいます。
これが結節気管支拡張型の肺非結核性抗酸菌症で、近年、中年以降の女性を中心に患者数が急増しています。ほとんどの場合は軽症であり、進行も非常にゆっくりで、強い治療を必要としません。また、このタイプは気管支拡張症という疾患と関連があります。感染することによって気管支拡張症をきたす場合と、もともとある気管支拡張症のため、非結核性抗酸菌が感染する場合とがあります。一方で線維空洞型は、気道だけではなく肺で非結核性抗酸菌の増殖がおき、肺の破壊が進行していきます。痩せ型の高齢者、肺に基礎疾患を有する人、糖尿病合併など、全身の抵抗力低下が大きな要因と考えられています。多剤併用化学療法や、時に外科手術を行うことが必要になります。現在、使用可能な薬剤で完全な治癒に至ることは難しいとされます。

8.禁煙外来

生活習慣病の大きな原因の一つの喫煙は、「ニコチン依存症」という病気です。
喫煙により、肺がんや咽頭がん、ぼうこう癌など数多くの癌になりやすくなり、COPD(肺気腫)では酸素吸入療法が必要になり、全身の筋力低下から最終的に動くことができなくなります。
「ニコチン依存症」は投薬で加療する時代です。オンライン診療も可能ですので、ぜひご相談ください。