病気と健康の話

【健診】「BMIを測る、体重を減らす」から「病気を治す」へ ―減量は目的から「手段」になった―

はじめに ― 「何キロ減ったか」だけを見ていませんか

健康診断の結果を受け取って、まず体重と BMI(体格指数)の欄に目が行く。そして「今年こそ何キロ落とそう」と考える。これまでの肥満の医療は、まさにこの「測る」と「減らす」の二つで組み立てられてきました。ところが、この二年ほどで世界の常識は大きく動いています。
2026 年8月、英国グラスゴー大学のSattarらは、Lancet Diabetes & Endocrinology誌に「肥満から多臓器の病気へ ― 疾患修飾としての減量」と題する総説を発表しました(Sattar et al., 2026)。彼らの主張は明快です。減量はもはや体型を整えるための行為ではなく、2 型糖尿病・心不全・脂肪肝・睡眠時無呼吸・変形性関節症といった病気そのものを「予防し」「改善させる」ための治療である、というものです。
ほぼ同時期に、欧州心臓病学会(ESC)の機関誌 European Heart Journal でも、Curran とO’Regan が「BMI を超えて ― 肥満と心血管リスクの地図を描く」という論説を発表しました(Curran & O’Regan, 2026)。こちらの主張は、脂肪は「どれだけあるか」ではなく「どこにあり、何を伴っているか」で評価すべきだ、というものです。
つまり、特定健診の重心は、単なる測定や減量から、病気を「予防する」「改善させる」方向へ明確に移りつつあります。本コラムでは、この歴史的な転換点を、ヨーロッパとアメリカの最新エビデンス10件に基づいて解説します。

1. 肥満は「体型の問題」ではなかった ― 全身に広がる多臓器疾患

肥満はながらく「食べすぎと運動不足の結果である体型」として語られてきました。しかし現代医学が描く姿は、それとはまったく異なります。Sattar らの総説は、過剰な脂肪組織が引き起こす病気を、代謝(2 型糖尿病)、心血管(心不全、心房細動、動脈硬化性疾患、脳卒中、高血圧)、運動器(変形性膝関節症、痛風、乾癬性関節炎)、呼吸器(閉塞性睡眠時無呼吸、喘息、COPD)、消化器・肝臓(胃食道逆流症、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患=MASLD)、そして精神(うつ)にまで及ぶ「多臓器疾患」として体系的に整理しました(Sattar et al., 2026)。
この総説が優れているのは、証拠の強さを一つひとつ格づけしている点です。著者らは、疫学研究(観察研究)、遺伝学的解析(メンデルランダム化)、体重変化の観察研究、そしてランダム化比較試験という、それぞれ弱点の異なる四つの証拠を並べて突き合わせる「トライアンギュレーション(三角測量)」という手法を用いました。四つが同じ方向を指せば因果関係の確からしさは高まり、食い違えば今後の課題として明示される、という考え方です。
その結果、2 型糖尿病、MASLD/MASH(脂肪肝炎)、睡眠時無呼吸、変形性膝関節症、そして左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)については、「減量が病気そのものを変える」という証拠がすでに非常に強いと結論づけられました。一方で、心房細動、うつ、関節リウマチ、末梢動脈疾患などは、関連は確実なのに大規模試験が不足している「空白地帯」として指摘されています。肥満の治療は、いま急速に「見た目の問題」から「臓器を守る医療」へと定義し直されつつあるのです。

2. 「測って終わり」の限界 ― BMIだけでは病気は見つからない

転換点の第一歩は、「測り方」への反省から始まりました。2025 年、Lancet Diabetes & Endocrinology 誌に発表された国際委員会の報告書は、BMI 単独で肥満を診断することの危うさを正面から指摘しています(Rubino et al., 2025)。世界56の医学組織が支持したこの報告書は、肥満を「臨床的肥満(clinical obesity)」と「前臨床的肥満(preclinical obesity)」の二つに分けることを提案しました。
臨床的肥満とは、過剰な脂肪がすでに臓器の働きや日常生活動作を損なっている状態、つまり「今そこにある病気」です。呼吸が苦しい、膝が痛くて歩けない、心臓や肝臓の機能が落ちている、といった具体的な障害が確認された場合が該当します。一方の前臨床的肥満は、脂肪は過剰でも臓器機能はまだ保たれている状態で、これは「病気」ではなく「将来のリスクが高い状態」として、予防的に管理すべき対象と位置づけられました(Rubino et al., 2025)。
重要なのは、この区別がBMIだけでは決してつけられない、という点です。同じBMI28の二人でも、片方は臓器障害がすでに始まった臨床的肥満で、もう片方は前臨床的肥満かもしれません。報告書は、BMI に加えてウエスト周囲径やウエスト身長比などの体格指標を組み合わせること、そしてBMI が 35 を超える場合を除いては、体脂肪の過剰を直接確認したうえで臓器機能を評価することを求めています。「体重計に乗って終わり」「BMI を計算して終わり」の健診は、もはや時代に合わなくなってきているのです。

3. 脂肪は「量」より「どこにあるか」 ― 臓器脂肪マッピングという新しい地図

では、BMIの次に何を見ればよいのか。その問いに正面から答えたのが、2026年にEuropean Heart Journal 誌に発表されたKwayらの研究です(Kway et al., 2026)。研究チームは、心血管疾患のない英国バイオバンク参加者24,935 人の MRI 画像から、皮下脂肪・内臓脂肪・心膜脂肪・肝臓脂肪・膵臓脂肪・筋肉内脂肪という六つの脂肪の分布を測定し、そのパターンによって参加者を六つの表現型(フェノタイプ)に分類しました。
結果は示唆に富むものでした。「膵臓脂肪優位型」は内臓脂肪と膵臓脂肪、そして筋肉量減少を併せもち、BMI や従来の危険因子で補正してもなお2型糖尿病と心不全のリスクが高いことが示されました。さらに注目されたのが「軽度多臓器脂肪型」です。この群は通常の診察や体重測定では一見「安心な体型」に見えるにもかかわらず、慢性の虚血性心疾患リスクが上昇していました。BMI が正常でも危険が隠れている人が、確かに存在するということです。
ESC 機関誌の論説でCurranとO’Reganは、この結果を「どれだけ脂肪があるか、から、脂肪がどこにあり、何を伴い、どんな心血管的文脈の中にあるか、への転換」と評しました(Curran & O’Regan, 2026)。ただし彼らは冷静な留保も加えています。六つのクラスターは明確に線引きされた別々の病気ではなく、連続した脂肪分布の勾配の中の便宜的な区切りにすぎず、また画像は一時点の断面にすぎない、と。それでも方向性は明らかです。肥満の評価は「一つの数字」から「多次元の地図」へ移りつつあります。

4. 見落とされてきた主役、筋肉 ― サルコペニア肥満という視点

Kway らの研究がもう一つ浮かび上がらせたのは、筋肉の重要性です。「筋肉脂肪優位型」、すなわち皮下脂肪が多く筋肉量と筋力が低下した群は、BMI や内臓脂肪量とは独立して心不全のリスクが高いことが示されました。しかも筋肉内脂肪の増加は、この群に限らず、過体重の表現型全般に広く認められたのです(Kway et al., 2026)。
脂肪が多く筋肉が少ない状態は「サルコペニア肥満」と呼ばれ、とくに高齢の方で問題になります。体重だけを見ていると見逃されやすく、体重が変わらないまま筋肉が脂肪に置き換わっていく過程は、体重計にはまったく現れません。CurranとO’Reganは、内臓脂肪や肝臓脂肪だけでなく筋肉内脂肪も心血管の老化を加速させる可能性を指摘し、脂肪組織の慢性炎症が加齢と相互作用する「インフラム・エイジング(炎症性老化)」という概念で、この現象を説明しています(Curran & O’Regan, 2026)。
この視点は、治療にも直接はねかえります。強力な減量治療が普及したいま、問われるのは「何キロ減ったか」だけではなく「何が減ったか」です。脂肪を減らしながら筋肉を保つこと、すなわち減量の質が、とくに高齢の方や筋肉量の少ない方にとっては、絶対的な減量幅と同じくらい重要な治療目標になります。だからこそ、薬物療法を行う場合でも、十分なたんぱく質摂取とレジスタンス運動(筋力トレーニング)を併せて行うことが欠かせません。

5. 「予防する」エビデンス① 糖尿病 ― 3年間で発症リスク93%減

では、実際に減量が病気を「予防する」証拠はどれほど確かなのでしょうか。もっとも劇的な数字を示したのが、SURMOUNT-1 試験の 3 年間(176 週)の成績です(Jastreboff et al., 2025)。この試験には、肥満または過体重があり、かつ糖尿病予備群(前糖尿病)の状態にある1,032人が参加しました。
3 年後の体重変化は、チルゼパチド5mg群で−12.3%、10mg群で−18.7%、15mg群で−19.7%であったのに対し、プラセボ(偽薬)群では−1.3%にとどまりました。そして肝心の糖尿病発症率は、チルゼパチド群1.3%に対しプラセボ群13.3%。ハザード比0.07、すなわち3年間で2型糖尿病を発症するリスクが約93%低下したことになります(Jastreboff et al., 2025;Sattar et al., 2026)。糖尿病を「早く見つけて治療する」のではなく「そもそも発症させない」という段階に、医学が到達しつつあることを示す数字です。
薬物療法だけの話ではありません。Sattarらの総説は、低カロリー食による食事療法でも2型糖尿病の寛解(薬なしで血糖が正常域に戻る状態)が得られることを整理し、発症から日が浅い糖尿病では、体重が1%減るごとにおおむね1〜2年以内の寛解率が約5%上昇すると報告しています(Sattar et al., 2026)。英国では、この食事療法による寛解プログラムがすでに国民保健サービス(NHS)の治療選択肢として提供されています。「予防」と「寛解」は、もはや理想論ではなく臨床の実務なのです。

6. 「予防する」エビデンス② 心臓と腎臓 ― SELECT試験とFLOW試験

予防の対象は糖尿病だけではありません。2023年にNew England Journal of Medicine誌で報告された SELECT 試験は、この分野の転換点となった大規模試験です(Lincoff et al., 2023)。BMI27 以上で心血管疾患の既往があり、糖尿病はない 17,604 人を対象に、セマグルチド2.4mg週1回投与とプラセボを比較したところ、心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中を合わせた主要心血管イベントが20%減少しました(ハザード比0.80)。
この試験が画期的だったのは、糖尿病のない人を対象に、肥満の治療そのものが心血管イベントを減らすことを初めて証明した点にあります。ただしSattarらは、平均体重減少が9%程度であったこと、そして体重減少で説明できるのはイベント抑制効果の3分の1程度と推定されることから、薬剤の直接的な血管保護作用も寄与している可能性を指摘しています(Sattar et al., 2026)。減量と薬剤作用のどちらがどれだけ効いているのかは、いまも研究が続く論点です。
腎臓についても同様の結果が出ています。2024 年に報告された FLOW 試験では、2 型糖尿病と慢性腎臓病を併せもつ3,533人において、セマグルチドが腎機能の持続的低下・末期腎不全・腎および心血管死を合わせた主要腎イベントを 24%減少させました(ハザード比 0.76、Perkovic et al., 2024)。腎臓は一度悪くなると元に戻りにくい臓器です。だからこそ「透析になる前に食い止める」という予防の視点が決定的に重要であり、この試験はその現実的な手段を示したことになります。

7. 「改善させる」エビデンス ― 心不全と脂肪肝は後戻りする

「予防する」の次にあるのが、すでに起きてしまった病気を「改善させる」段階です。その代表がSUMMIT試験です(Packer et al., 2025)。左室駆出率が保たれた心不全(HFpEF)と肥満を併せもつ731人を対象に、チルゼパチド15mgとプラセボを約2年間比較したところ、心血管死または心不全増悪という主要複合エンドポイントが 38%減少しました(ハザード比0.62)。
注目すべきは、症状と身体の構造の両方が改善した点です。息切れや生活の質を評価するカンザスシティ心筋症質問票のスコア、6 分間歩行距離がいずれも有意に改善し、加えて左室心筋重量がプラセボ群より11g 多く減少し、心臓周囲の脂肪組織は45mL 多く減少しました(Packer et al., 2025)。心不全という「治らない病気」とされてきた領域で、心臓の形そのものが後戻りしうることが示されたのです。
肝臓ではさらに明確です。2025年に発表されたESSENCE試験では、線維化を伴うMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)の患者800人において、72週間のセマグルチド2.4mg投与により、肝生検で確認されたMASHの消失(線維化の悪化なし)が62.9%と、プラセボ群の34.3%を大きく上回りました。線維化の改善も36.8%対22.4%で有意差がつき、体重は−10.5%対−2.0%でした(Sanyal et al., 2025)。組織学的に肝臓が良くなることが示された意義は極めて大きく、脂肪肝は「様子を見る」病気から「治療して改善させる」病気に変わりました。

8. 減量は目的から「手段」へ ― 欧州EASO 2026が示す合併症起点の戦略

こうした試験結果を、日々の診療にどう落とし込むか。その道筋を示したのが、2026 年にNature Medicine 誌に発表された欧州肥満学会(EASO)の薬物治療フレームワーク改訂版です(Ciudin et al., 2026)。この文書の最大の特徴は、治療の入口を「体重」ではなく「合併症」に置いたことにあります。
EASO 2026 は、2 型糖尿病の寛解、心血管アウトカムの改善、閉塞性睡眠時無呼吸、変形性関節症、そして今回新たに加えられた MASH の消失と肝線維化の改善という複数の治療目標を並べ、それぞれの目標に対してどの薬剤の証拠がもっとも充実しているかを整理しました。肝臓の組織学的改善についてはセマグルチドとチルゼパチドの証拠がもっとも進んでいる、といった具合に、目標ごとに薬を選ぶ設計になっています(Ciudin et al., 2026)。
さらにこの改訂版は、脂肪が代謝に悪影響を及ぼす「代謝性肥満」と、体重の物理的負荷が関節などを傷める「機械的肥満」という区別を導入しました。同じ肥満でも、狙うべき臓器が違えば治療戦略も変わる、という発想です。減量そのものが目的だった時代から、「この患者さんの、この臓器を守るために、どれだけの減量を、どの方法で達成するか」を考える時代へ。減量は目的ではなく手段になった、という言い方が、いまもっとも実態に近いと思われます。

おわりに ― 体重計の数字の、その先へ

ここまで見てきた10件のエビデンスが指し示す方向は一貫しています。肥満の医療は、BMIを測って減量を励ますだけの段階を終え、糖尿病を発症させない、腎臓を守る、心不全の心臓を回復させる、脂肪肝の線維化を戻す、という具体的な臓器の目標を掲げる医療へ移行しつつあります。BMI という一つの数字は出発点にすぎず、脂肪がどこにあるか、筋肉は保たれているか、臓器の機能はどうか、という多次元の評価が、その先に控えているのです。
とはいえ、この転換は「薬さえ飲めばよい」という話では決してありません。減量の質を保つには食事内容と運動が不可欠であり、また薬物療法には適応と副作用の管理が伴います。何より大切なのは、ご自身がいまどの段階にいるのかを正確に知ることです。前臨床的肥満なのか、すでに臓器障害が始まっているのか。内臓脂肪と皮下脂肪のどちらが多いのか。肝臓に脂肪はたまっていないか。筋肉は保たれているか。これらは体重計では決してわかりません。
まんかいメディカルクリニックでは、CT と超音波装置による内臓脂肪面積・脂肪肝の評価、血液検査による肝線維化リスクや腎機能・血糖の評価、体組成測定による筋肉量の把握を組み合わせ、一人ひとりの治療方針をご提案しています。健康運動指導士による運動療法を院内で受けていただけるため、減量の量だけでなく質を守りながら進めることができます。日曜・祝日も診療しておりますので、平日にお時間の取りにくい方もどうぞご相談ください。健康診断の結果に気になる項目があった方は、症状が出る前の段階でこそ、一度ご相談いただければと思います。

FAQ ― よくあるご質問

Q1. BMI が正常範囲なら、肥満を心配しなくてよいのでしょうか?

残念ながら、そうとは限りません。2026年にEuropean Heart Journal誌に発表された英国バイオバンク24,935 人の MRI 研究では、通常の診察では安心に見える「軽度多臓器脂肪型」の方々に、慢性の虚血性心疾患リスクの上昇が認められました(Kway et al., 2026)。BMI が標準でも、内臓脂肪や肝臓・膵臓・筋肉内の脂肪が多い方がおられるためです。Lancet委員会の報告書も、BMIは体格の代用指標にすぎず、単独では肥満の診断根拠として不十分であり、ウエスト周囲径などの体格指標と臓器機能の評価を組み合わせるべきだと明記しています(Rubino et al., 2025)。健診でBMIが正常でも、腹囲が大きい方、肝機能や中性脂肪に異常がある方は、一度腹部超音波や CT での評価をご検討ください。

Q2. 何%くらい減量すれば、病気は改善するのでしょうか?

目標とする臓器によって必要な減量幅は異なります。Sattarらの総説によれば、2型糖尿病の寛解は発症から日が浅い方で体重 1%減ごとに寛解率が約 5%上昇し、血圧や脂質は比較的少ない減量でも改善が始まります。一方、乾癬や睡眠時無呼吸、喘息のコントロール改善には10%前後、あるいはそれ以上の減量が必要と考えられています(Sattar et al., 2026)。肝臓については、ESSENCE 試験で平均 10.5%の減量に伴い、MASH の消失が62.9%(プラセボ34.3%)、線維化改善が36.8%(同22.4%)という結果が得られました(Sanyal et al., 2025)。「まず5%、次に10%」を段階的な目標とし、どの臓器を守りたいかによって到達点を設定するのが現実的です。

Q3. GLP-1 受容体作動薬などの薬は、痩せるためだけの薬なのでしょうか?

いいえ、現在の位置づけはむしろ「臓器を守る薬」に近づいています。SELECT 試験では、糖尿病のない心血管疾患既往者 17,604 人でセマグルチドが主要心血管イベントを 20%減少させ(Lincoff et al., 2023)、FLOW 試験では2型糖尿病と慢性腎臓病を併せもつ3,533人で主要腎イベントが24%減少しました(Perkovic et al., 2024)。SUMMIT試験ではチルゼパチドがHFpEFの心血管死・心不全増悪を38%減少させています(Packer et al., 2025)。欧州肥満学会の 2026 年フレームワークも、治療目標を体重ではなく合併症ごとに設定し、目標に応じて薬剤を選ぶ設計を採用しました(Ciudin et al., 2026)。なお日本では薬剤ごとに保険適用の条件が定められており、美容目的での使用は適応外です。必ず医師の診察のうえでご検討ください。

Q4. 薬をやめたらリバウンドしますか? 食事や運動はもう必要ないのでしょうか?

食事と運動は、むしろこれまで以上に重要になっています。理由は二つあります。第一に、減量薬の効果は継続投与を前提としたもので、中止後の体重再増加が課題であることは各試験でも共通して指摘されています。SURMOUNT-1試験でも176週の治療後に17週の非投与期間が設けられ、その影響が検討されました(Jastreboff et al., 2025)。第二に、減量の「質」の問題です。Kway らの研究では、筋肉量と筋力の低下が過体重の表現型全般に広くみられ、筋肉内脂肪の多い方は心不全リスクが高いことが示されました(Kway et al., 2026)。急激な減量は筋肉も失わせます。十分なたんぱく質摂取とレジスタンス運動を併せて行うことが、薬物療法を行う場合であっても必須と考えてください。

Q5. まず何から始めればよいですか? どんな検査を受けるべきでしょうか?

最初に必要なのは、ご自身が「前臨床的肥満」なのか「臨床的肥満」なのかを知ることです(Rubino et al., 2025)。具体的には、体重とBMIに加えて腹囲(ウエスト周囲径)とウエスト身長比を測り、血液検査で血糖・HbA1c・肝機能・脂質・腎機能を評価し、腹部超音波または CT で脂肪肝と内臓脂肪の状態を確認します。いびきや日中の眠気がある方は睡眠時無呼吸の検査も検討します。体組成測定で筋肉量を把握しておくと、その後の減量の質を追跡できます。まんかいメディカルクリニックではこれらを院内で一括して実施でき、結果に基づいて食事・運動・薬物療法を組み合わせた計画をご提案しています。症状が出てからではなく、健診で指摘された段階でのご相談をおすすめします。

参考文献

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 for weight loss as disease modification. Lancet Diabetes Endocrinol. 2026.
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2. Curran L, O’Regan DP. Beyond BMI: mapping the landscape of adiposity and cardiovascular
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3. Rubino F, Cummings DE, Eckel RH, et al. Definition and diagnostic criteria of clinical
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9. Sanyal AJ, Newsome PN, Kliers I, et al. Phase 3 trial of semaglutide in metabolic
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https://doi.org/10.1056/NEJMoa2403347




※本コラムは医学的情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を代替するものではありません。気になる症状がある方は医療機関にご相談ください。

記事監修者田場 隆介

医療法人社団 青山会 まんかいメディカルクリニック 理事長

医療法人社団青山会代表。兵庫県三田市生まれ、三田小学校、三田学園中学校・同高等学校卒業。 1997(平成9)年岩手医科大学医学部卒業、町医者。聖路加国際病院、淀川キリスト教病院、日本赤十字社医療センター、神戸市立医療センター中央市民病院を経て、2009(平成21)年医療法人社団青山会を継承。 2025年問題の主な舞台である地方の小都市で、少子高齢化時代の主役である子どもと高齢者のケアに取り組んでいる。

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