肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌感染症について
肺炎球菌という細菌は、元来、鼻やのどの奥によく存在している菌で、通常の免疫力があれば発症することはほとんどありません。しかし高齢者の方は免疫力が低下しているため発症しやすく、肺炎球菌は高齢者の肺炎の原因として最も頻度が高くなっています。
肺炎を発症すると、さらに体力低下や免疫力低下を招き、肺炎の重症化や、度重なる再発、さらに髄膜炎や敗血症など合併症を招くこともあります。肺炎は常に日本人の死因の上位に位置する疾患でもありますので、命を守るためにも、肺炎球菌ワクチン接種は重要です。
○65歳以上の方は一生に一回一本で済む肺炎予防のワクチン接種を!
2024年に65歳以上成人用肺炎球菌ワクチンの推奨接種スケジュールが新しくなりました。
肺炎球菌ワクチンの種類(4種類)
○プレベナー20
2024年秋に新しく承認された肺炎球菌結合型ワクチンです。原則として追加接種を必要としません。長期に免疫が保持されるため、費用の面でも経済的です。当院では65歳になったらプレベナー20を接種することをお勧めしています。一生に一回一本のみの接種で生涯肺炎球菌による肺炎の予防や重症化予防が期待できます。とくにCOPDや喘息、間質性肺炎など、呼吸器疾患のある方には強くお勧めいたします。
○ニューモバックスNP
初回のみ公費助成で接種できますが、5年で効果が切れてしまい、5年ごとに約8,000円(自費)で再接種が必要になります。初回公費接種については、令和6年4月からは65歳のみに限定され、対象年齢以外の方は初回接種でも自費となります。
○バクニュバンス
キャリアタンパク質が結合した15種類の肺炎球菌莢膜ポリサッカライドを含む肺炎球菌結合型ワクチンであり、T細胞依存性の免疫応答を誘導するため、ニューモバックスNPより効果が持続すると考えられています。
○キャップバックス
2025年に承認された最新の21価肺炎球菌結合型ワクチンです。成人の肺炎球菌感染症予防に特化して設計されており、日本人成人の市中肺炎の原因となる肺炎球菌血清型の71.9%、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)では80.3%に対応しています。従来のワクチンに比べ、さらに広範囲の肺炎球菌感染症予防が期待されます。
高齢者や、肺炎球菌による疾患にかかるリスクが高いとされる成人に対して適したワクチンです。
※キャップバックスは2025年に承認された最新のワクチンです。詳細は医師にご相談ください。
| ワクチン名 | 費用(1回) |
|---|---|
| プレベナー20 | 10,010円(税込) |
| ニューモバックスNP | 10,010円(税込) |
| バクニュバンス | 10,010円(税込) |
| キャップバックス | 13,000円(税込) |
○米国CDCによる推奨接種方法
- これまでに肺炎球菌ワクチンを接種したことがない場合:20価(プレベナー20)または21価(キャップバックス)の接種を一生に一度で完了
- バクニュバンスを接種済みで、1年以上経過している場合:ニューモバックスNPの追加接種を行い完了
- 既にニューモバックス23またはプレベナー13を接種済みの場合:プレベナー20またはキャップバックスを1回追加接種することが推奨されます
○副反応について
| 通常みられる反応 | 発熱、接種局所の発赤、腫れ、しこり、発疹などが比較的高い頻度(数%から数十%)で認められますが、通常数日以内に自然に治るので心配の必要はありません。 |
| 重い副反応 | 接種局所のひどい腫れ、高熱、ひきつけなどの症状があれば、接種した医師の診察を受けてください。極めてまれ(百万から数百万人に1人程度)に脳炎や神経障害などの重い副反応が生じることもあります。 |
三田市高齢者肺炎球菌ワクチン(23価)の定期予防接種について
高齢者肺炎球菌ワクチン(23価)の定期予防接種について、肺炎球菌が原因で引き起こされる病気(肺炎・気管支炎・中耳炎など)にかかることを防いだり、もしかかっても重症にならないようにする事を目的に、国の定める対象者について、肺炎球菌ワクチン(23価莢膜ポリサッカライドワクチン【ニューモバックスNP】)の定期予防接種を実施しています。
○対象者
三田市に住民登録があり、過去に肺炎球菌ワクチン(23価)を接種したことがない、下記の1.2.のいずれかに該当する人
- 65歳の人
- 60歳~65歳未満であって、心臓・腎臓・呼吸器の機能またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害を有する人(これらの疾患で身体障害者手帳1級をお持ちの人及び1級相当の人)
| 接種期間 | 65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日まで |
| 接種回数 | 1回(過去に接種した人は対象外) |
| 自己負担金 | 4,000円 ※生活保護世帯の人は生活保護受給証明書を医療機関窓口へ提出すると無料 |
○持ち物
- 年齢や住所が確認できるもの(マイナンバーカード、運転免許証、介護保険被保険者証、身体障害者手帳など)
- 高齢者肺炎球菌ワクチン(23価)予診票兼接種券
●健康被害救済制度(副反応)
定期接種によって引き起こされた副反応により、生活に支障が出るような障害を残すなどの健康被害が生じた場合は予防接種法に基づく給付を受けることができます(因果関係を国の審査会で審議し、予防接種によるものと認定された場合に限る)。
予防接種法に基づく定期接種とした定められた期間を外れて接種した場合、予防接種法に基づかない接種(任意接種)として取り扱われ、健康被害を受けた場合は独立行政法人医薬品医療機器総合機構法に基づく救済を受けることになります。
厚生労働省予防接種健康被害救済制度
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_kenkouhigaikyuusai.html
