RSウイルスワクチン
RSウイルス感染症について
RSウイルスは咳やくしゃみ、飛沫などに触れることで広がる一般的な風邪のウイルスです。成人では通常軽い風邪症状で済みますが、生後6か月未満の乳幼児や免疫力が低下している高齢者にとっては重症化のリスクが高く、しばしば死亡される方もおられます。
インフルエンザなどと違って特効薬がなく、いままでは予防法もありませんでしたが、2024年にようやく待望されていたワクチンが2つ、利用可能になりました。
妊婦さん向けワクチン:アブリスボ
○アブリスボとは
妊婦に接種することで新生児にRSウイルスに対する免疫をつけることができる画期的なワクチンです。妊婦が妊娠中に1回ワクチンを接種することで、胎盤を通じて抗体が胎児に移行し、出生後の数か月間、赤ちゃんに免疫を与えることが期待されます。この母子免疫ワクチンによって、生まれてくるお子さんの発症や重症化を防ぐことが期待されています。
○効果と利点
新生児期はRSウイルス感染に対して非常に弱いため致死率が高く、ワクチン接種によって重症化リスクや入院リスクを低減し新生児を守ることができます。生後6か月までの乳児のRSウイルス感染による下気道感染症を約70%、重症化を約80%予防する効果が報告されています。
◯副反応
接種部位の痛み、発赤、腫れなどの軽度な反応が報告されています。妊婦さんの約40%に注射部位の痛みが認められますが、数日で軽快します。重篤な副反応は稀です。
◯接種について
| 接種対象 | 妊娠28週~36週の妊婦さん |
| 投与方法 | 0.5mlを1回、筋肉注射 |
| 費用 | お電話にてご確認をお願いいたします。 |
◯持ち物
- マイナンバーカード、保険証など本人確認書類
- ご記入済みの予診票
- 院内ではマスク着用をお願いいたします
高齢者向けワクチン:アレックスビー
○アレックスビーとは
高齢者の肺炎入院原因はインフルエンザ、肺炎球菌、RSウイルスが各約3分の1ずつといわれています。インフルエンザと肺炎球菌にはワクチンや治療薬がありますが、RSウイルスには特効薬がなく、再感染しやすい特徴があります。
日本では年間約6.3万人がRSウイルスで入院すると推定されています。米国では60歳以上の全成人に一生に一度のRSウイルスワクチン接種が推奨され、既に950万人が接種済みです。特に持病のある方、子どもと接触機会の多い方は「アレックスビー」の接種を検討し、肺炎球菌ワクチン(プレベナー20)との同時接種が推奨されます。
○効果と利点
RSウイルス感染の予防や重症化の防止、入院リスクの低減に「アレックスビー」は有効とされています。有効率(発病を抑える効果)は、60歳以上全体で82.6%、基礎疾患のある60歳以上では94.6%と非常に高い結果が報告されています。万が一発症しても、症状が出るリスクを約1/5に減らす効果が期待されています。
○副反応
接種部位の痛み(60%程度)、発赤、頭痛、疲労、関節痛、筋肉痛などの軽度な反応が報告されています。ほとんどは数日以内に改善します。
◯接種について
| 接種対象 | 60歳以上の方、または50歳以上で慢性肺疾患などの持病がある方 |
| 投与方法 | 0.5mlを1回、筋肉注射 |
| 費用 | お電話にてご確認をお願いいたします。 |
◯持ち物
- マイナンバーカード、保険証など本人確認書類
- ご記入済みの予診票
- 院内ではマスク着用をお願いいたします
