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1月下旬から内服や注射!2026年 三田市スギ・ヒノキ花粉飛散予測

■1. 2026年花粉シーズンの全体像

2026年の花粉シーズンは予測がやや難しい年として特徴づけられます。その背景には相反する2つの要因があります。一つは、2025年春が記録的な大量飛散となった「表年」であったことによる、樹木のエネルギー消耗に起因する生理的な抑制効果です。これにより、2026年は本来であれば飛散量が減少する「裏年」に該当します。

しかし、もう一方の要因として、2025年夏(6月~8月)が観測史上でも有数の猛暑・多照であったという気象的な促進効果が存在します。この異常気象はスギやヒノキの雄花の成長を強力に促すものであり、「裏年」の生理的抑制効果を凌駕する可能性が極めて高いと考えます。

このため、2026年の花粉シーズンは「裏年」という言葉から想起されるような楽観視ができる状況にはなく、むしろ平年レベルかそれ以上の警戒が必須となります。市民一人ひとりが正確なリスク認識を持つことが、健康被害を最小限に抑えるための第一歩です。

本レポートでは、次章以降で飛散量予測の科学的根拠を深掘りし、三田市の地理的リスク要因と詳細な飛散タイムラインを分析します。

■2. 2026年飛散量予測の科学的根拠

2026年の花粉飛散リスクを正確に理解するためには、単に予測数値を把握するだけでなく、その背景にある樹木の生理的メカニズムと気象条件の相互作用を理解することが不可欠です。この科学的根拠の理解こそが、市民のリスク認識を深め、より効果的な対策を講じるための土台となります。2026年の予測は、以下の二つの主要因のバランスによって決定されます。

要因1:生理的抑制(裏年の効果)

樹木には、一度大量の花や種子を生産すると、翌年はエネルギーを蓄えるために生産量を抑制する「隔年結果」という性質があります。2025年春、兵庫県における花粉飛散量は、前年比453 %、平年比250 %という過去10年でも稀に見る記録的な「表年」でした。この爆発的な飛散により、県内のスギやヒノキは大量のエネルギーを消耗しました。その結果、樹木の生理的サイクルから見れば、2026年は花粉生産を抑制する「裏年」に該当し、飛散量を減少させる方向に力が働きます。

要因2:気象的促進(2025年夏の異常気象)

一方で、2026年の花粉量を決定づけるもう一つの重要な要素は、前年夏(2025年6月~8月)の気象条件です。この時期の高温・多照・少雨は、スギやヒノキの雄花の成長を著しく促進します。2025年の夏、兵庫県周辺は記録的な猛暑に見舞われました。神戸の気象データを見ると、7月の平均気温は29.4℃、日照時間は316.0時間に達し、平年を大幅に上回りました。この気象条件は、雄花の成長にとってまさに「最適」であり、「裏年」の生理的抑制効果を打ち消し、花粉飛散量を平年レベル以上に底上げする極めて強力な促進要因として作用します。

主要予測機関の見解比較

この二つの要因のどちらを重視するかによって、主要な予測機関の見解には若干の差異が生じています。

予測機関2026年
飛散量予測
(近畿地方)
平年比
(例年比)
2025年
シーズン比
主な予測根拠
日本気象協会 (JWA)例年並みの所が多い0.9~1.0倍減少前年の大量飛散の反動(裏年傾向)と雄花花芽調査を重視。
ウェザーニュース (WNI)平年を上回る予想138%118%2025年夏の記録的な高温・多照が裏年傾向を凌駕すると評価。

日本気象協会(JWA)は前年の大量飛散による反動と雄花調査の結果を重視し「例年並み」と予測する一方、ウェザーニュース(WNI)は2025年夏の異常気象が持つ促進効果をより重視し、近畿地方で平年比138%、前年比118%という高い予測値を公表しています。WNIの予測はJWAより高いものの、夏の気象条件のみから導かれる初期予測よりは下方修正されている点は注目に値します。これは、実際の雄花調査で花芽の発育が想定より若干少なかったことを反映したものであり、生物学的要因と気象学的要因の複雑な相互作用を浮き彫りにしています。

結論

重要なのは、見解に差はあれど、いずれの予測も「平年レベルの警戒が必須である」という点で一致していることです。「裏年だから安心」という考えは極めて危険であり、市民は十分な対策を準備する必要があります。次のセクションでは、この広域的な予測を、三田市特有の地理的・時間的リスクへと具体的に落とし込んで分析します。

■3.2026年三田市花粉シーズンの詳細タイムライン

花粉シーズンの時間的な推移を正確に予測し、理解することは、予防医療(初期療法)の開始タイミングを計り、日常生活の計画を立てる上で極めて重要です。2026年の三田市における花粉飛散は、以下のスケジュールで進行すると予測されます。

飛散開始時期(2月上旬~中旬)

根拠:最新の長期予報によると、2025年12月は強い寒気の影響を受けることで、スギ雄花の休眠は適切に解除(休眠打破、つまり冬の寒さによって花粉を飛ばす準備が整うこと)される見込みです。その後、2026年1月以降は平年より気温が高くなる傾向が予測されており、休眠から覚めた雄花の成長が加速されます。このため、三田市では2月上旬から中旬にかけて、本格的な花粉飛散が開始されると予測されます。

スギ花粉のピーク(3月上旬~中旬)

根拠: 飛散開始後、気温の上昇とともに飛散量は徐々に増加し、3月上旬から中旬にかけてピークを迎えます。この期間は、三田市周辺の広大な森林地帯から供給されるスギ花粉の濃度が最も高くなり、症状が最も悪化しやすい時期となります。

ヒノキ花粉への移行と複合ピーク(3月下旬~4月中旬)

根拠: 3月下旬になるとスギ花粉の飛散は減少し始めますが、入れ替わるようにヒノキ花粉の飛散が本格化します。ヒノキ花粉のピークは4月上旬から中旬と予測されています。特に注意が必要なのは、3月下旬から4月上旬にかけて、減少しつつあるスギ花粉と増加中のヒノキ花粉が同時に飛散する「複合アレルゲン期間」となる点です。この時期は、異なる種類のアレルゲンに曝露されるため、症状が長引いたり、多様化したりする可能性があります。

このタイムラインは、市民が医療機関を受診し、予防的な治療(初期療法)を開始する最適なタイミングを判断するための重要な指針となります。次章では、この時間軸のリスクに、三田市の空間的なリスク要因を重ね合わせて分析します。

■4.三田市特有の地理的リスク要因

広域的な花粉飛散予報だけでは、市民が実際に体感するリスクを完全には捉えきれません。三田市固有の地理的特性を理解することは、より精度の高いリスク評価と対策立案のために不可欠です。三田市は北摂山系に囲まれた内陸盆地という地形的特徴を持っており、これが花粉の滞留を引き起こし、市民の曝露量を増加させる深刻なリスク要因となっています。

リスク1:盆地地形による「花粉溜まり」現象

三田市は、周囲を山々に囲まれた「すり鉢状」の地形をしています。このため、風が弱まる夜間から早朝にかけて、周辺の山林から飛散したスギ・ヒノキ花粉が、冷たい空気とともに盆地の底にあたる市街地へと沈降・滞留する現象が発生します。これにより、風が穏やかな日でも花粉濃度が長時間にわたって高いレベルで維持され、市民は逃げ場のない「花粉溜まり」の中で生活することになります。

リスク2:豊富な周辺森林からの直接供給

三田市は、丹波篠山市や神戸市北区といった広大なスギ・ヒノキ人工林に隣接しています。これらの地域は、市内への巨大な「花粉供給源」として機能しています。特に、冬季から春先にかけて卓越風となる「丹波おろし」のような北寄りの風が吹く日には、これらの森林で成熟した花粉が効率的に三田盆地内へと運搬されます。この構造的なリスクにより、風の強い晴れた日には、花粉濃度が爆発的に上昇する可能性があります。

リスク3:市街地における「再飛散」問題

一度アスファルトやコンクリートの地面に落下した花粉は、それで終わりではありません。晴れて空気が乾燥した日には、自動車の通行や歩行、ビル風などによって、地面に積もった花粉が再び空中に舞い上がる「再飛散」という現象が起こります。この再飛散は、特に歩行者の顔の高さで花粉濃度を著しく上昇させ、外出時の曝露量を予測数値以上に深刻化させる要因となります。

結論

これらの三田市特有の地理的要因を総合すると、気象情報会社が発表する予測数値以上に、市民が体感する花粉曝露量は深刻化する可能性が高いと結論付けられます。この局所的リスクを認識した上で、次章で示すような具体的な健康防衛戦略を徹底することが極めて重要です。

5. 三田市民のための具体的な健康防衛戦略

これまでの科学的分析と地理的リスク評価は、市民一人ひとりが自らの健康を守るための行動計画の基礎となります。以下に示す対策は単なる推奨事項ではなく、三田市の局所的リスク評価に基づいた戦略的計画です。

1.医療機関での早期対策(初期療法)

シーズン中の重篤な症状を緩和する上で、臨床的に最も効果的な単一の介入策は、症状が悪化する前に治療を開始する「初期療法」です。2026年の飛散開始は2月上旬~中旬と予測されるため、症状の有無にかかわらず、1月下旬には市内の医療機関を受診し、抗ヒスタミン薬・抗体医薬などの投薬を開始することを強く推奨します。

  • 抗ヒスタミン薬や点鼻、点眼を使ってもなお、花粉症症状がおさまらない方に 、2020 年より保険適応となった『ゾレア』が使用可能です。
  • スギ舌下免疫療法の治療薬 『シダキュア』は、スギ花粉飛散時期には開始できません
    (スギ花粉飛散開始前での治療開始か、2025年 5 月中旬以降開始可能です。)

2.日常生活における曝露回避策

マスク・メガネの着用花粉の体内への侵入を物理的に防ぐ最も基本的な対策です。顔にフィットするものを選び、正しく着用することが重要です。
衣類の工夫帰宅時には、玄関に入る前に上着などを軽く払い、衣服に付着した花粉を室内に持ち込まないようにしましょう。ウールなどのけば立った素材より、表面がすべすべした化学繊維の衣類の方が、花粉は付着しにくく、落としやすいです。
風向きの確認天気予報アプリなどで風向きを確認し、特に北風(「丹波おろし」)が強い日は「豊富な周辺森林からの直接供給」リスクが高まるため、不要不急の外出を控えるなどの特別な注意を払いましょう。
室内環境の管理■「花粉溜まり」対策
盆地底部では、特に風のない早朝に花粉が滞留します。この時間帯に窓を大きく開けて換気すると、高濃度の花粉を室内に招き入れることになるため、換気は日中の短時間にとどめましょう。
■「再飛散」対策:
空気清浄機の適切な活用は、室内の浮遊花粉除去に非常に有効です。また、床に落ちた花粉が舞い上がるのを防ぐため、掃除機だけでなく、濡れ雑巾やウェットタイプのフロアモップによるこまめな清掃が市街地における「再飛散」問題への直接的な対抗策となります。

三田市の地域リソース活用

  • 休日に症状が急に悪化した場合に備え、「まんかいメディカルクリニック」「三田市休日応急診療所」(総合福祉保健センター内)の存在を覚えておきましょう。
  • 最新の気象情報や医療機関、市のサービスに関する情報は、三田市の公式LINEアカウントやウェブサイトから入手できます。これらの情報ツールを積極的に活用し、日々の対策に役立ててください。

これらの対策を単独で行うのではなく、総合的に、かつ継続的に実践することが、2026年の花粉シーズンにおける健康被害を最小限に抑えるための最も確実な方法です。

■6. 結論:2026年を乗り切るための総括

本レポートの分析結果を総括すると、兵庫県三田市における2026年のスギ・ヒノキ花粉シーズンは、以下の点で特徴づけられます。

飛散量2025年の記録的飛散の反動による「裏年」でありながらも、2025年夏の記録的な猛暑・多照という気象要因がこれを強力に後押しするため、最終的な飛散量は平年並みから平年を上回る水準に達すると予測されます。決して油断できないシーズンです。
局所的リスク三田市特有の盆地地形は、周辺山林からの花粉の流入と滞留、さらには市街地での再飛散を促進します。これにより、市民が体感する花粉曝露量は、発表される予測数値以上に深刻化する可能性が高いと言えます。

以上の分析から導き出される最も重要なメッセージは、以下の二点に集約されます。
第一に、2026年1月下旬から医療機関と連携した「初期療法」を計画的に開始すること。 第二に、三田市の地理的リスクを正しく理解した上で、日常生活における曝露回避策を徹底すること。
これら二つの戦略を両輪として実践することが、2026年の厳しい花粉シーズンを乗り越え、市民一人ひとりの健康と生活の質(QOL)を維持するために不可欠であると結論付けられます。

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