病気と健康の話

【腹囲】内臓脂肪は「がんの温床」かもしれない―631 万人のデータが示す内臓脂肪とがんの関係―

はじめに ― 「がんは年をとってからの病気」

「がんは中高年になってから心配すればよい」と思っていませんか。ところが近年、50 歳未満で見つかる「若年発症がん」が世界的に増えています。米国がん協会の Sung らは、1920 年から 1990 年に生まれた米国人のがん登録データを解析し、34 種類のがんのうち 17種類で、後の世代に生まれた人ほど罹患率が高くなっていることを示しました(Sung et al.,Lancet Public Health 2024)。その有力な背景として注目されているのが、若い世代での肥満、とくにお腹まわりにたまる「内臓脂肪」の増加です。
2026 年 10 月、米国内科学会の公式誌である Annals of Internal Medicine に、この疑問に正面から答える大規模研究が発表されました。韓国の国民健康保険の健診データを用い、20〜39 歳の若年成人 631 万人を平均 11.2 年追跡したもので、肥満の度合いが強いほどがんが増えること、そして体重(BMI)が同じでも腹囲が大きい人、つまり内臓脂肪型の肥満の人ほどがんになりやすいことが示されました(Yun et al., Ann Intern Med 2026)。
一方、米国国立がん研究所(NCI)の Watts らは 2026 年に Nature Metabolism 誌に発表した総説で、150 万件のがん症例を含むメタ解析をもとに、肥満は少なくとも 19 種類のがんの「変えられる危険因子」であると整理し、今後は CT や MRI で内臓脂肪を直接測る研究が重要になると論じています(Watts et al., Nat Metab 2026)。本コラムでは、この 2 本の論文に、脂肪細胞の免疫機能に関する Cell Metabolism 誌の最新論文を加えた 3 本を軸に、欧米の権威ある最新論文を加えた計 10 件をもとに、「なぜ内臓脂肪ががんにつながるのか」「どのくらいリスクが上がるのか」「何をすればよいのか」を順に解説します。

1. 肥満は「たばこに次ぐ」がんの危険因子 ― 国際機関の結論

肥満とがんの関係については、世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関(IARC)が、過剰な体脂肪が少なくとも 13 種類のがんのリスクを高めると結論づけてきました。Watts らは、150 万件のがん症例を含む最新のメタ解析でこれをさらに広げ、子宮体がん、食道腺がん、腎臓がん、胆のうがん、胃の噴門部がん、肝臓がん、閉経後の乳がん、甲状腺がん、髄膜腫、大腸がん、多発性骨髄腫、白血病、膵臓がん、卵巣がん、悪性リンパ腫、進行性の前立腺がんなど、19 種類のがんで BMI との正の関連を確認しました(Watts et al.,Nat Metab 2026)。世界全体では新たながんの約 2.4%が高い BMI に直接起因すると推計され、その割合は女性(3.4%)で男性(1.6%)より高くなっています。
では、肥満はがん全体のどのくらいを占めているのでしょうか。米国がん協会の Islami らは、2019 年に米国で新たに診断されたがんの約 40%が、喫煙、過体重、飲酒、運動不足、食習慣、感染症など「変えられる危険因子」に起因すると推計しました。その中で過体重・肥満は、がん全体の約 7.6%を占め、喫煙に次ぐ第 2 位の要因でした(Islami et al., CA Cancer J Clin 2024)。
つまり肥満は、たばこと並んで「予防の余地が大きい」がんの原因です。ただし、ここで重要なのは、同じ体重でも「脂肪がどこについているか」によって、がんのリスクが大きく変わるという点です。体重計の数字だけでは見えない内臓脂肪こそが、本コラムの主役です。

2. 20〜30 代 631 万人の追跡研究 ― Annals of Internal Medicine
2026

Yun らの研究では、2009 年から 2012 年に国の健診を受けた、がんの既往のない 20〜39 歳の韓国人 6,313,338 人を対象に、BMI をアジア人向けの基準で「やせ」「普通体重(18.5〜22.9)」「過体重(23〜24.9)」「肥満 1 度(25〜29.9)」「肥満 2 度(30 以上)」の 5 群に分けて比較しました。平均 11.2 年の追跡期間中に 151,893 人(2.4%)ががんと診断されています(Yun et al., Ann Intern Med 2026)。
年齢、性別、喫煙、飲酒、運動、収入、血圧・血糖・脂質などの影響をそろえて解析したところ、10 年間でがんを発症する割合(累積罹患率)は、普通体重の 1.84%に対し、肥満 1 度で2.24%、肥満 2 度で 2.62%と段階的に上昇しました。相対的なリスク(ハザード比)は肥満 1 度で 1.22 倍、肥満 2 度で 1.43 倍です。男性では肥満 2 度で 1.58 倍と相対リスクの上昇がより大きく、女性では若い世代でもともと甲状腺がんや乳がんなどが多いため、絶対的なリスクの差(10 年で 0.80 ポイント)が大きくなっていました(Yun et al., Ann Intern Med 2026)。
がんの種類別では、甲状腺がん、子宮体がん、卵巣がんで肥満によるリスクの増加が大きく、次いで大腸がん、腎臓がん、肝臓がん、膵臓がんが続きました。とくに子宮体がんは、肥満による相対リスクの上昇が最も大きいがんでした。一方、50 歳までに診断される乳がんは、肥満の人でむしろ少ない傾向があり、閉経前と閉経後で肥満の影響が異なるという従来の知見と一致しています。著者らは「若い時期からの体重管理が、がん予防に重要である可能性がある」と結論づけています。

3. 「BMI 正常」でも安心できない ― 腹囲が語るもう一つのリスク

この研究で特に注目すべきは、腹囲(ウエスト周囲径)を組み合わせた解析です。男性 90cm以上、女性 85cm 以上を「腹部肥満」として、BMI の区分と掛け合わせて 10 通りに分けたところ、どの BMI の区分でも、腹部肥満がある人のほうが一貫してがんのリスクが高くなっていました。しかも、この「腹囲による上乗せ」は、大腸がんや子宮体がんなどの肥満関連がんでより顕著でした(Yun et al., Ann Intern Med 2026)。
具体的な数字で見てみましょう。肥満 1 度で腹部肥満もある人の 10 年累積罹患率は 2.45%で、同じ肥満 1 度でも腹部肥満のない人(2.13%)を上回り、さらに BMI がより高い肥満 2 度で腹部肥満のない人(2.20%)よりも高い値でした。また、BMI は普通体重なのに腹囲だけが大きい、いわゆる「隠れ肥満」の人のリスクは、腹部肥満のない過体重の人とほぼ同じ水準でした。体重よりも「お腹まわり」のほうが、がんのリスクをよく物語っていたのです。
同様の結果はヨーロッパでも示されています。スウェーデンの 33 万 9,190 人を平均 14 年追跡した研究では、男性の場合、腹囲が約 11cm 大きいごとに肥満関連がんのリスクが 25%上昇したのに対し、BMI が約 3.7 大きいごとの上昇は 19%にとどまり、腹囲のほうが強い予測因子でした。女性では両者とも 13%の上昇で、ほぼ同等でした(Sun et al., J Natl Cancer Inst 2025)。男性は内臓に脂肪がつきやすい体質であることが、この差の一因と考えられています。

4. 画像で測った内臓脂肪とがん ― UK Biobank のデータ

腹囲は手軽な指標ですが、皮下脂肪と内臓脂肪を区別することはできません。そこで、MRIで脂肪の量と分布を直接測定した研究が重要になります。米国アルバート・アインシュタイン医科大学の Peila と Rohan は、英国の大規模コホート「UK Biobank」で MRI 検査を受けた、がんの既往のない 49,044 人を追跡し、脂肪の分布とがんの関係を調べました(Peila &Rohan, Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2025)。
その結果、女性では内臓脂肪量、腹部の総脂肪量、さらに筋肉の中に入り込んだ脂肪(筋肉内脂肪浸潤)が閉経後の乳がんと関連し、皮下脂肪は子宮体がんと関連していました。男性では内臓脂肪量と腹部の総脂肪量が大腸がんのリスク上昇と関連していました。追跡期間がまだ短く症例数も限られるため、今後の検証が必要ですが、「どこに、どれだけ脂肪があるか」ががんの種類ごとに異なる影響をもつことを示した点で意義のある研究です。Watts らも、腹囲は手軽な一方で内臓脂肪と皮下脂肪を区別する力には限界があり、CT や MRI といった画像による脂肪の測定ががんの研究で今後ますます重要になると指摘しています(Watts et al., Nat Metab 2026)。
こうした知見を受けて、肥満の診断そのものも見直されつつあります。2025 年に Lancet Diabetes & Endocrinology 誌に発表された国際委員会の提言は、BMI だけで肥満を判断するのは不十分であり、腹囲、ウエスト身長比、あるいは画像検査などによる脂肪の直接測定で「過剰な脂肪の蓄積」を確認すべきだとしています(Rubino et al., Lancet Diabetes Endocrinol 2025)。日本の特定健診で腹囲(男性 85cm 以上、女性 90cm 以上)が重視されているのも、同じ考え方に基づいています。

5. なぜ内臓脂肪はがんを育てるのか ― 4 つのメカニズム

内臓脂肪は単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、さまざまな物質を分泌する「内分泌臓器」です。Watts らの総説は、肥満ががんにつながる主な経路として、慢性炎症、インスリンの過剰、性ホルモンのバランスの変化、免疫の監視機能の低下を挙げています(Watts et al., Nat Metab 2026)。第一の経路は「慢性炎症」です。内臓脂肪が肥大すると、脂肪組織にマクロファージという免疫細胞が集まり、TNF-α や IL-6 などの炎症性サイトカインを放出し続けます。このくすぶるような炎症が、細胞の DNA を傷つけ、がん細胞が育ちやすい環境をつくります。さらに、内臓のように脂肪に囲まれた臓器では、脂肪細胞ががん細胞に直接脂肪酸を供給し、がんの「燃料」となる可能性も指摘されています(Watts et al., Nat Metab2026)。
第二の経路は「高インスリン血症」です。内臓脂肪が増えるとインスリンが効きにくくなり(インスリン抵抗性)、体はより多くのインスリンを分泌します。インスリンやインスリン様成長因子(IGF-1)には細胞の増殖を促し、細胞が自ら死ぬ仕組み(アポトーシス)を抑える働きがあるため、大腸や子宮内膜などの細胞の異常な増殖を後押しすると考えられています。
Yun らも、若い時期から肥満が続くことで、こうした慢性炎症とインスリン抵抗性にさらされる期間が長くなることを、若年発症がんの一因として指摘しています(Yun et al., AnnIntern Med 2026)。
第三の経路は「性ホルモン」です。脂肪組織にはアロマターゼという酵素があり、男性ホルモンを女性ホルモン(エストロゲン)に変換します。脂肪が多いほどエストロゲンが増え、子宮体がんや閉経後乳がんのリスクが高まります。子宮体がんが肥満の影響を最も強く受けるがんであることは、この仕組みでよく説明できます。そして第四の経路が「免疫のバランスの乱れ」です。ドイツ・ウルム大学の Zinngrebe らは 2026 年、CellMetabolism 誌に発表した論文で、脂肪細胞そのものが病原体を認識し、抗菌物質を産生し、免疫細胞に情報を伝える「免疫の担い手」であると論じました。その一方で、肥満の脂肪組織では、病原体を感知するセンサー(TLR4 など)が過剰に働いて炎症を起こし続けることも示されています(Zinngrebe et al., Cell Metab 2026)。本来は体を守るはずの脂肪の免疫機能が、肥満によって「慢性炎症の発生源」に変わってしまうのです。著者らは、脂肪細胞の免疫機能を将来がんへの対抗手段として活用できる可能性にも言及しています。

6. 内臓脂肪を減らせば、がんは減るのか ― 減量治療のエビデンス

肥満ががんの原因であるなら、脂肪を減らせばがんは減るはずです。この問いに強い示唆を与えたのが、米国クリーブランド・クリニックの Aminian らによる SPLENDID 研究です。重度の肥満がある 30,318 人を解析したところ、減量手術(肥満外科手術)を受けた人では、受けなかった人に比べて肥満関連がんの発症が 32%、がんによる死亡が 48%少ないことが示されました(Aminian et al., JAMA 2022)。Watts らの総説でも、減量手術は子宮体がんのリスク低下(オッズ比 0.43)と一貫して関連しており、大幅で持続的な減量が、がんのリスクを下げうることを示す重要なデータとされています(Watts et al., Nat Metab 2026)。
近年は、GLP-1 受容体作動薬と呼ばれる薬による減量治療も広がっています。米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学の Wang らは、2 型糖尿病の患者さん約 165 万人の電子カルテを解析し、GLP-1 受容体作動薬を使用している人では、インスリンを使用している人に比べて、13種類の肥満関連がんのうち10種類でリスクが低かったと報告しました(Wang et al., JAMA Netw Open 2024)。ただし、メトホルミンとの比較では明らかな差はなく、腎臓がんではむしろリスクが高い傾向も見られました。Watts らは、この差は「インスリンが進行した糖尿病の人に使われやすい」という背景の違いによる見かけ上のものかもしれないと注意を促しています。一方、2 型糖尿病の約 92 万人を対象にした別の研究では、他の 6 種類の糖尿病薬と比べても、GLP-1 受容体作動薬の使用者で肥満関連がん全体のリスクが 13%低かったと報告されています(Watts et al., Nat Metab 2026)。
ここで注意が必要なのは、こうした研究の多くが「観察研究」であるという点です。食事と運動による減量を比較したランダム化試験として最大規模の Look AHEAD 試験(4,859 人、11年追跡)でも、肥満関連がんのリスクは低い傾向(ハザード比 0.84)にとどまり、統計的に明確な差は示されませんでした(Watts et al., Nat Metab 2026)。薬を使った人と使わなかった人では、もともとの健康状態や生活習慣が異なる可能性があり、「薬ががんを防いだ」とまでは言い切れません。Watts らも、新しい抗肥満薬が本当にがんの発症や死亡を減らすのかを確かめるには、がんを主な評価項目とした臨床試験が必要だと強調しています(Watts et al., Nat Metab 2026)。現時点では、がん予防だけを目的にこれらの薬を使うことは推奨されていません。

7. 今日からできること ― 「測る」「動く」「整える」

内臓脂肪には、皮下脂肪に比べて「つきやすいが、減らしやすい」という特徴があります。まず大切なのは、体重だけでなく腹囲を「測る」ことです。Yun らの研究が示したように、BMI が正常でも腹囲が大きければリスクは上がります(Yun et al., Ann Intern Med 2026)。
おへその高さで、息を軽く吐いた状態で測るのが基本です。ウエスト身長比(腹囲÷身長)が0.5 を超えていないかも、手軽な目安になります。
次に「動く」ことです。有酸素運動は内臓脂肪を減らすのに効果的と考えられており、筋力トレーニングを組み合わせると、筋肉量を保ちながら脂肪を減らすことができます。食事では、精製された糖質や甘い飲み物、加工肉を控え、野菜、豆類、魚、全粒穀物を中心にすることが基本です。そして「整える」のは、睡眠、飲酒、喫煙です。喫煙と肥満はそれぞれ独立したがんの危険因子であり(Islami et al., CA Cancer J Clin 2024)、両方が重なるとリスクはさらに高まります。
さらに、がん検診を年齢に応じてきちんと受けることも欠かせません。Yun らの研究では、肥満と関連するがんとして大腸がんや子宮体がんが上位に挙がっており、若い世代であっても、血便、不正出血、急な体重減少などの症状があれば、年齢にかかわらず早めに受診することが大切です(Yun et al., Ann Intern Med 2026)。

おわりに ― 体重計の数字より、お腹の中身を

20〜30 代の 631 万人を追跡した Annals of Internal Medicine の最新研究は、若い時期の肥満、とりわけ内臓脂肪型の肥満が、その後のがんのリスクを高めることを明確に示しました。
スウェーデンや UK Biobank の研究も、BMI より腹囲や内臓脂肪のほうががんのリスクをよく反映することを裏づけています。内臓脂肪は、慢性炎症、インスリンの過剰、性ホルモンの変化、免疫のバランスの乱れという複数の経路を通じて、文字どおり「がんの温床」となりうるのです。
一方で、内臓脂肪は生活習慣の改善で比較的減らしやすい脂肪でもあります。まんかいメディカルクリニックでは、InBody による体組成測定に加え、CT や超音波による画像検査で体の中の状態を確認し、内分泌・代謝の専門的な視点から、運動療法の指導や GLP-1 受容体作動薬を含む肥満症治療までをご提案しています。日曜・祝日も診療しておりますので、「最近お腹まわりが気になる」「健診で腹囲を指摘された」という方は、お気軽にご相談ください。

FAQ ― よくあるご質問

Q1. BMI が正常なら、がんのリスクは心配しなくてよいですか?

A. 必ずしもそうとは言えません。韓国の 20〜39 歳 631 万人を追跡した研究では、BMI が普通体重でも腹囲が大きい(男性 90cm 以上、女性 85cm 以上)人のがんのリスクは、腹部肥満のない過体重の人とほぼ同じ水準でした(Yun et al., Ann Intern Med 2026)。国際委員会の提言でも、BMI だけで判断せず、腹囲などで脂肪の蓄積を確認することが推奨されています(Rubino et al., Lancet Diabetes Endocrinol 2025)。体重が正常でも、お腹まわりが大きい方は注意が必要です。

Q2. 内臓脂肪と皮下脂肪では、どちらががんに関係しますか?

A. 一般に、内臓脂肪のほうが炎症性物質やホルモンへの影響が大きく、代謝への悪影響が強いと考えられています。MRI で脂肪を測定した UK Biobank の研究では、内臓脂肪が男性の大腸がんや女性の閉経後乳がんと関連していました。ただし、皮下脂肪も女性の子宮体がんや男性の腎臓がんと関連しており、がんの種類によって関わる脂肪が異なる可能性が示されています(Peila & Rohan, Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2025)。

Q3. 20 代・30 代でも、肥満とがんの関係を気にする必要はありますか?

A. はい。若い世代でもがんの発症は年々増えており、米国では 34 種類のがんのうち 17種類で、若い世代ほど罹患率が高くなっています(Sung et al., Lancet Public Health2024)。20〜39 歳を対象とした研究でも、肥満 2 度の人では普通体重の人に比べてがんのリスクが 1.43 倍でした(Yun et al., Ann Intern Med 2026)。若い時期から肥満の状態が長く続くほど、炎症やインスリン抵抗性にさらされる期間も長くなるため、早めの体重管理が大切です。

Q4. 痩せれば、がんのリスクは本当に下がるのですか?

A. 大幅で持続的な減量によって、がんのリスクが下がる可能性を示すデータがあります。重度肥満の約 3 万人を解析した SPLENDID 研究では、減量手術を受けた人で肥満関連がんの発症が 32%、がんによる死亡が 48%少なくなっていました(Aminian et al., JAMA 2022)。
観察研究でも、9kg 以上の減量を維持した閉経後女性では乳がんのリスクが低いことが報告されています(Watts et al., Nat Metab 2026)。食事と運動による減量の効果を直接確かめた試験はまだ限られますが、内臓脂肪を減らすことは心血管病や糖尿病の予防にも役立ちます。

Q5. GLP-1 受容体作動薬(ウゴービ、ゼップバウンドなど)で、がんを予防できますか?

A. 現時点では、がん予防を目的とした使用は推奨されていません。約 165 万人の 2 型糖尿病患者さんのデータでは、GLP-1 受容体作動薬の使用者でインスリン使用者に比べて 13種類中 10 種類の肥満関連がんのリスクが低かったものの、これは観察研究であり、薬の効果とは断定できません(Wang et al., JAMA Netw Open 2024)。がんを主な評価項目とした臨床試験での検証が求められています(Watts et al., Nat Metab 2026)。肥満症の治療薬として適応がある方には、医師と相談のうえで適切に使用することが大切です。

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※本コラムは医学的情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を代替するものではありません。気
になる症状がある方は医療機関にご相談ください。

記事監修者田場 隆介

医療法人社団 青山会 まんかいメディカルクリニック 理事長

医療法人社団青山会代表。兵庫県三田市生まれ、三田小学校、三田学園中学校・同高等学校卒業。 1997(平成9)年岩手医科大学医学部卒業、町医者。聖路加国際病院、淀川キリスト教病院、日本赤十字社医療センター、神戸市立医療センター中央市民病院を経て、2009(平成21)年医療法人社団青山会を継承。 2025年問題の主な舞台である地方の小都市で、少子高齢化時代の主役である子どもと高齢者のケアに取り組んでいる。

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