病気と健康の話

【内臓脂肪】脂肪肝の原因「果糖」、意志の力では勝てない―内臓脂肪とフルクトースの関係、GLP-1 薬の上手な使い方―

はじめに ― 甘いものをやめられないのは、意志が弱いから?

健診で「脂肪肝があります」「お腹まわりの内臓脂肪が多めです」と言われ、「甘いものを控えましょう」と指導された経験はありませんか。頭ではわかっていても、気がつけば清涼飲料水やパンに手が伸びてしまう。「果糖(フルクトース)」は、肝臓で脂肪に変わりやすく、しかも満腹のブレーキがかかりにくいという、人類が生き延びるために身につけた性質を持っています。
2026 年 10 月、Nature Metabolism 誌は、果糖代謝の入口となる酵素「ケトヘキソキナーゼ(KHK)」を薬で止めたところ、わずか 6 週間で肝臓の脂肪が約 30%減り、15 人中 9 人で肝脂肪が正常化したという、オランダ・マーストリヒト大学を中心とする臨床試験を報告しました(Koene et al., Nat Metab 2026)。同じ号で論評を寄せた Johnson らは、果糖が細胞のエネルギー(ATP)を減らし、からだを「脂肪をためこむモード」に切り替えるスイッチであることを解説しています(Johnson et al., Nat Metab 2026)。本コラムでは、果糖が脂肪肝と内臓脂肪をつくる仕組みと、「意志の力」だけに頼らず GLP-1 受容体作動薬(GLP1 RA)という医学の力を上手に借りる方法を、欧米の最新エビデンスに基づいてご紹介します。

1. 果糖(フルクトース)とは ― 問題は果物よりも「飲み物」

果糖は果物やはちみつに含まれる糖で、ブドウ糖(グルコース)と並ぶ代表的な単糖です。私たちが日常的に口にする砂糖(ショ糖)はブドウ糖と果糖が 1 対 1 で結合したものであり、清涼飲料水や加工食品に多用される「果糖ブドウ糖液糖(高果糖コーンシロップ)」も、その半分ほどが果糖です。Johnson らの論評によれば、欧米型の食事では砂糖と果糖ブドウ糖液糖が総エネルギーの 10〜20%を占めており、加糖飲料、超加工食品、菓子類を通じて肥満や糖尿病の発症と関連しています(Johnson et al., Nat Metab 2026)。
一方で、果物そのものを過度に恐れる必要はありません。果物には食物繊維や水分が含まれ、噛んで食べるため果糖の吸収はゆるやかで、食べられる量にも自然と限りがあります。問題になるのは、液体で一気に、しかも大量にとる果糖です。くにちか内科クリニック(札幌市)の院長コラムでは、スポーツドリンク 100mL にショ糖と果糖が計 6.2g 含まれる例が紹介されていますが、500mL のペットボトル 1 本に換算すると約 30g になり、世界保健機関(WHO)が理想とする「遊離糖は 1 日の総エネルギーの 5%未満(2,000kcal なら砂糖約 25g)」を、それだけで超えてしまいます。
Koene らの試験で参加者が摂取した果糖は 1 日 60g で、これは米国の調査で報告された平均摂取量(1 日約 55g)に近い量でした。不足分を補うために追加された果糖の中央値は、標準的な清涼飲料 1 本分にほぼ相当したと報告されています(Johnson et al., Nat Metab2026)。つまり、決して特別な大食いではなく、ごく普通の生活のなかで、私たちの肝臓は日々果糖にさらされているのです。

2. 肝臓で起こること ― 果糖は「脂肪の原料」に変わりやすい

ブドウ糖は全身の細胞でエネルギー源として使われ、その利用はインスリンによって厳密に調節されています。これに対し果糖は、その大部分が小腸と肝臓で処理され、最初の酵素である KHK によってブレーキなしで一気にリン酸化されます。このとき細胞内の ATP(エネルギー通貨)が急激に消費され、その分解産物として尿酸が生じます。Johnson らは、このATP の低下とミトコンドリアの酸化ストレスが、摂ったカロリーを「燃やす」よりも「ためこむ」方向へ振り向けると説明しています(Johnson et al., Nat Metab 2026)。
この現象はヒトでも確かめられています。スイス・チューリッヒ大学の Geidl-Flueck らは、健康な男性 94 人を対象に、果糖、ショ糖、ブドウ糖のいずれかを 1 日 80g 含む飲料を 7 週間飲んでもらう二重盲検ランダム化試験を行いました(Geidl-Flueck et al., J Hepatol2021)。その結果、果糖群とショ糖群では、肝臓で新たに脂肪酸を合成する速度が対照群のおよそ 2 倍に上昇しましたが、同じ量のブドウ糖では変化がみられませんでした。しかも総摂取カロリーは各群でほぼ同じでした。同じカロリーであっても、「果糖を含むかどうか」で肝臓の反応はまったく異なるのです。
果糖はもともと、食料や水が乏しい時期を生き延びるために、エネルギーを脂肪としてたくわえる「生存スイッチ」として働いてきたと考えられています。秋に果実をたくさん食べて冬に備える動物のように、果糖はからだを「蓄えモード」に切り替えます。ところが、一年中いつでも甘い飲み物が手に入る現代では、このスイッチが入りっぱなしになり、脂肪肝、内臓脂肪、高尿酸血症、インスリン抵抗性を招いてしまいます(Johnson et al., Nat Metab2026)。

3. 満腹にならない糖 ― 意志の力が負けてしまう生物学的な理由

果糖にはもう一つ厄介な性質があります。ブドウ糖を摂ると血糖値が上がり、インスリンやレプチンといった「満腹のシグナル」が出て、空腹ホルモンのグレリンが抑えられます。ところが果糖は血糖値をほとんど上げないため、こうした満腹のブレーキがかかりにくいのです。くにちか内科クリニックの院長コラムでは、「果糖を多く含む清涼飲料水はいくらでも飲める」「デザートは別腹」という、誰もが覚えのある現象をこの仕組みで説明しています。
さらに甘味は、脳の報酬系(ドーパミン系)を強く刺激します。甘さは、自然界では「安全でエネルギーになる食べ物」の目印でした。人類が農耕を始めたのは約 1 万年前、甘いものを好きなだけ口にできるようになったのは、ここ数十年にすぎません。長い進化の中で磨かれた「甘いものを求める本能」に、わずか数十年の食環境の変化で抗うのは容易ではありません。加えて Johnson らは、果糖が視床下部の炎症を介してレプチン抵抗性(満腹ホルモンが効きにくい状態)を引き起こし、その回復には時間がかかる可能性を指摘しています(Johnson et al., Nat Metab 2026)。
2025 年に Lancet Diabetes & Endocrinology 誌で発表された国際委員会の報告は、肥満を単なる「生活習慣の結果」とみなす考え方を退け、臓器の機能障害を伴う「臨床的肥満」を、それ自体が治療されるべき慢性疾患として定義しました(Rubino et al., Lancet Diabetes Endocrinol 2025)。甘いものがやめられないのは、性格や根性の問題ではなく、からだの仕組みの問題なのです。

4. 脂肪肝と内臓脂肪 ― 肝臓から全身へ広がるリスク

脂肪肝は現在、「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」と呼ばれています。2024 年に欧州肝臓学会(EASL)・欧州糖尿病学会(EASD)・欧州肥満学会(EASO)が合同で発表した診療ガイドラインは、MASLD を肥満、2 型糖尿病、脂質異常症、高血圧と深く結びついた全身の代謝疾患と位置づけ、肝臓の線維化(硬くなること)の程度が、将来の肝硬変・肝がんだけでなく心血管病とも関係すると強調しています(EASL-EASD-EASO, J Hepatol 2024)。
同ガイドラインは生活習慣改善の柱として、加糖飲料や超加工食品など、果糖を多く含む飲食物を控えることを推奨しています。
加糖飲料と肝臓病の関係は、大規模な疫学研究でも示されています。米国の女性健康イニシアチブ(WHI)に参加した閉経後女性 98,786 人を中央値で約 20 年追跡した研究では、加糖飲料を 1 日 1 杯以上飲む人は、月 3 杯以下の人と比べて肝がんのリスクが 1.85 倍、慢性肝疾患による死亡リスクが 1.68 倍でした(Zhao et al., JAMA 2023)。
果糖は肝臓だけでなく、内臓脂肪とも関係しています。Koene らの試験で KHK を止めると、体重は変わらないにもかかわらず、内臓脂肪と皮下脂肪の比率が改善する傾向(P=0.06)がみられました(Koene et al., Nat Metab 2026)。脂肪肝と内臓脂肪は「同じ根」から生える病態であり、体重計の数字だけでは見えないリスクがあることを示しています。当院では腹部超音波や CT を用いて、肝臓の脂肪や内臓脂肪の状態を直接確認することができます。

5. 果糖の入口を閉じる新しい薬 ― KHK 阻害薬の臨床試験

果糖の害が KHK という「入口」から始まるのであれば、そこを薬で閉じればよいのではないか。この発想から開発されたのが、KHK 阻害薬 PF-06835919 です。これまでの第 II 相試験では、6 週間投与で肝脂肪がプラセボと比べて 19%、16 週間投与で 14%(いずれも相対的な減少)と効果は控えめで、開発はいったん継続されませんでした(Johnson et al., Nat Metab2026)。
これに対し Koene らは、糖尿病のない過体重・肥満の MASLD 患者 15 人を対象に、1 日 60g の果糖を摂取する条件のもとで、薬とプラセボを各 6 週間、5 週間の休薬期間をはさんで入れ替えるクロスオーバー試験を行いました(Koene et al., Nat Metab 2026)。結果は印象的でした。体重はまったく変わらないのに、肝臓の脂肪は相対的に 29.6%減少し、15 人中 9 人で肝脂肪量が正常範囲に戻りました。さらに、肝臓・脂肪組織・全身のインスリン感受性が改善し、尿酸と乳酸が低下し、善玉ホルモンとも呼ばれるアディポネクチンが上昇し、夜間の脂肪燃焼も増えていました。
ただし、参加者は 15 人と少なく、期間も 6 週間にすぎません。食欲、血圧、腎機能、長期の安全性などはまだ検証されていません(Johnson et al., Nat Metab 2026)。KHK 阻害薬は現時点では研究段階の薬であり、一般の診療で使える薬ではありません。それでもこの試験は、「体重が減らなくても、果糖の流入を断つだけで脂肪肝は大きく改善しうる」ことを示し、果糖が脂肪肝の主犯の一人であることを強く裏づけた点で重要です。

6. 意志の力で戦い続けることの限界 ― 「やめたら戻る」の正体

果糖を減らすことが大切だとわかっていても、それを何年も続けるのは簡単ではありません。
減量に成功しても、からだは失った脂肪を取り戻そうとして食欲を強め、エネルギー消費を下げる方向に適応します。これは意志の弱さではなく、飢餓を生き延びるために備わった防御反応です。
そのことを鮮やかに示したのが、チルゼパチド(ゼップバウンド/マンジャロ)のSURMOUNT-4 試験です(Aronne et al., JAMA 2024)。36 週間の投与で平均 20.9%の減量を達成した 670 人を、投与継続群とプラセボ切り替え群に分けたところ、その後 52 週間で、継続群はさらに 5.5%減量したのに対し、中止群では体重が 14.0%戻り、血圧や血糖、脂質の改善も失われていきました。薬が「意志の代わり」に食欲の調整を担っていたことがよくわかります。
前述の Lancet Diabetes & Endocrinology 誌の国際委員会も、臨床的肥満は高血圧や糖尿病と同じく、長期の管理を要する慢性疾患であると位置づけています(Rubino et al., Lancet Diabetes Endocrinol 2025)。血圧の薬を自己判断でやめれば血圧が戻るのと同じように、体重や脂肪肝も「治療を続けることで保たれる」ものと捉えることが、現実的な第一歩です。

7. GLP-1 受容体作動薬は、脳と肝臓の両方に働く

GLP-1 は、食事をすると腸から分泌されるホルモンで、膵臓からのインスリン分泌を促すとともに、脳の満腹中枢や報酬系に働きかけて食欲を抑えます。GLP-1 受容体作動薬は、この働きを薬で長時間持続させるものです。セマグルチド 2.4mg(ウゴービ)を用いた欧州の試験では、20 週間後、好きなだけ食べてよい食事での摂取エネルギーがプラセボより 35%少なくなり、食べ物への強い欲求(フードクレービング)が減り、食行動のコントロールが改善しました(Friedrichsen et al., Diabetes Obes Metab 2021)。果糖や甘味によって外れかけた「食欲のブレーキ」を、薬が取り戻してくれるのです。
肝臓への効果も大規模試験で証明されています。脂肪肝炎(MASH)と中等度以上の線維化をもつ 800 人を対象とした ESSENCE 試験では、セマグルチド 2.4mg を 72 週間投与すると、線維化を悪化させずに脂肪肝炎が消失した人が 62.9%(プラセボ 34.3%)、線維化が改善した人が 36.8%(同 22.4%)でした(Sanyal et al., N Engl J Med 2025)。GIP/GLP-1 受容体作動薬チルゼパチドの SYNERGY-NASH 試験でも、52 週間で脂肪肝炎の消失率は最大 62%(プラセボ 10%)に達しました(Loomba et al., N Engl J Med 2024)。
興味深いことに、Johnson らは、マウスの実験で KHK 阻害薬がセマグルチドによる減量を増強し、セマグルチド中止後のリバウンドを遅らせたという予備的な知見を紹介しています(Johnson et al., Nat Metab 2026)。GLP-1 受容体作動薬が「食べる量」を、果糖を減らす工夫が「脂肪をためこむ仕組み」を、それぞれ異なる角度から抑えるという考え方は、今後の脂肪肝・内臓脂肪治療の方向性を示しています。

8. GLP-1 受容体作動薬を上手に利用するための 5 つのポイント

第一に、適応を正しく見極めることです。日本では、セマグルチドやチルゼパチドは 2 型糖尿病、あるいは一定の基準を満たす肥満症に対して保険で使用でき、脂肪肝・脂肪肝炎そのものは 2026 年 10 月時点で保険適応になっていません。EASL-EASD-EASO ガイドラインも、MASLD の方には 2 型糖尿病や肥満といったそれぞれの適応に沿ってこれらの薬を用いることを推奨しています(EASL-EASD-EASO, J Hepatol 2024)。脂肪肝に糖尿病や肥満症を合併している方は、血糖・体重・肝臓を同時に改善できる可能性があります。
第二に、薬を「甘い飲み物をやめるチャンス」として使うことです。GLP-1 受容体作動薬で食欲が落ち着いている時期は、加糖飲料を水やお茶に置き換え、甘いものの習慣を見直す絶好の機会です。Geidl-Flueck らの試験が示すように、果糖を含む飲料は同じカロリーのブドウ糖より肝臓の脂肪合成を強く促すため、まず「飲み物」を変えることの効果は小さくありません(Geidl-Flueck et al., J Hepatol 2021)。薬の力でブレーキが戻っているうちに、食習慣というハンドルを切り替えておくことが、長期的な成功につながります。
第三に、筋肉を守ることです。薬による減量では脂肪とともに筋肉も一部失われるため、十分なたんぱく質と筋力トレーニングを組み合わせることが大切です。当院の運動療法では、InBody で体組成を確認しながら、筋肉を守る減量をサポートしています。第四に、自己判断で中断しないことです。SURMOUNT-4 試験が示したように、中止すると体重も代謝の改善も戻りやすいため、維持期の進め方は医師と相談しましょう(Aronne et al., JAMA 2024)。
第五に、安全性の確認です。吐き気や便秘などの消化器症状、まれに胆石や膵炎が起こることがあり、個人輸入や美容目的の安易な使用は避け、医師の管理のもとで用いることが重要です。

おわりに ― 意志と医学を、両輪で

果糖は、私たちの祖先が厳しい環境を生き延びるために頼ってきた「蓄えのスイッチ」です。そのスイッチが、甘い飲み物があふれる現代では、脂肪肝と内臓脂肪をつくる原因になっています。2026 年の Nature Metabolism 誌の試験は、果糖の入口を閉じるだけで、体重が変わらなくても肝臓の脂肪が大きく減ることを示しました(Koene et al., Nat Metab 2026)。
そして甘いものへの欲求は、意志の力だけでは抑えきれない生物学的な性質を持っています。だからこそ、加糖飲料を減らすという「意志の努力」と、GLP-1 受容体作動薬という「医学の力」を両輪として使うことが、これからの脂肪肝・内臓脂肪対策の現実的な戦略です。健診で脂肪肝や肝機能異常、腹囲の増加を指摘された方は、ひとりで我慢を重ねる前に、ぜひご相談ください。まんかいメディカルクリニックでは、腹部超音波・CT による肝臓と内臓脂肪の評価、InBody による体組成測定、GLP-1 プログラムと運動療法を組み合わせ、内分泌・代謝の専門的な視点から一人ひとりに合った治療をご提案しています。日曜・祝日も診療していますので、お気軽にお越しください。

FAQ ― よくあるご質問

Q1. 果物は脂肪肝によくないのですか?

丸ごとの果物は、食物繊維や水分を含み、噛んで食べるため果糖の吸収がゆるやかで、適量であれば大きな問題にはなりにくいと考えられています。注意したいのは、加糖飲料や果汁ジュースのように「液体で一度に大量の果糖をとる」ことです。EASL-EASD-EASOの 2024 年ガイドラインも、MASLD の方に加糖飲料など果糖を多く含む飲食物を控えるよう推奨しています(EASL-EASD-EASO, J Hepatol 2024)。果汁 100%ジュースも液体の果糖である点は同じですので、果物は「飲む」より「食べる」を心がけましょう。

Q2. 「ゼロカロリー」や人工甘味料の飲み物なら安心ですか?

約 10 万人の閉経後女性を追跡した米国の研究では、加糖飲料を 1 日 1 杯以上飲む人で肝がんと慢性肝疾患死亡のリスクが高かった一方、人工甘味料入り飲料では有意なリスク上昇はみられませんでした(Zhao et al., JAMA 2023)。加糖飲料からの「置き換えの第一歩」としては有用といえます。ただし、強い甘味に慣れた舌や脳の嗜好はそのまま残るため、最終的には水やお茶、無糖の飲み物を基本にしていくことをおすすめします。

Q3. やせていても脂肪肝になりますか?

はい、なります。Koene らの試験では、体重がまったく変わらないまま肝臓の脂肪が約30%減っており、体重と肝臓の脂肪が必ずしも連動しないことがわかります(Koene etal., Nat Metab 2026)。EASL-EASD-EASO ガイドラインも、肥満のない方の MASLD の存在に注意を促しています(EASL-EASD-EASO, J Hepatol 2024)。体型が標準でも、甘い飲み物をよく飲む方、肝機能や中性脂肪、尿酸の値が高めの方は、腹部超音波などで肝臓の」状態を一度確認されることをおすすめします。

Q4. GLP-1 受容体作動薬は脂肪肝の治療に使えますか?

セマグルチドの ESSENCE 試験では 62.9%の方で脂肪肝炎が消失し(Sanyal et al., N EnglJ Med 2025)、チルゼパチドの SYNERGY-NASH 試験でも最大 62%で消失がみられるなど(Loomba et al., N Engl J Med 2024)、肝臓への効果は大規模試験で確認されています。米国ではセマグルチドが 2025 年に脂肪肝炎の治療薬として承認されました。一方、日本では 2026 年 10 月時点で脂肪肝そのものは保険適応ではなく、2 型糖尿病や肥満症の基準を満たす場合に使用します。適応については診察のうえでご相談ください。

Q5. GLP-1 受容体作動薬はいつまで続ける必要がありますか?やめるとリバウンドしますか?

SURMOUNT-4 試験では、チルゼパチドを中止した群で 1 年のうちに体重が 14.0%戻り、血圧や血糖の改善も失われました(Aronne et al., JAMA 2024)。肥満は長期の管理を要する慢性疾患と考えられており(Rubino et al., Lancet Diabetes Endocrinol 2025)、「目標に達したらすぐやめる」よりも、食習慣と筋力トレーニングを整えながら、医師と相談して用量や継続期間を調整していくことが大切です。薬が効いている間に甘い飲み物の習慣を断っておくことが、リバウンドを防ぐ最大の備えになります。

参考文献

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※本コラムは医学的情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を代替するものではありません。気
になる症状がある方は医療機関にご相談ください。

記事監修者田場 隆介

医療法人社団 青山会 まんかいメディカルクリニック 理事長

医療法人社団青山会代表。兵庫県三田市生まれ、三田小学校、三田学園中学校・同高等学校卒業。 1997(平成9)年岩手医科大学医学部卒業、町医者。聖路加国際病院、淀川キリスト教病院、日本赤十字社医療センター、神戸市立医療センター中央市民病院を経て、2009(平成21)年医療法人社団青山会を継承。 2025年問題の主な舞台である地方の小都市で、少子高齢化時代の主役である子どもと高齢者のケアに取り組んでいる。

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