病気と健康の話

【GLP-1】マンジャロかウゴービか―あなたに合う「やせ薬」とその続け方のエビデンス―

はじめに ― 「夢のやせ薬」の本当の話

SNS などで「マンジャロ」「ウゴービ」という名前を耳にする機会が増えました。
これらは「GLP-1 受容体作動薬」と呼ばれる、糖尿病治療から発展した新しい肥満症治療薬で、従来のダイエット薬とは桁違いの体重減少効果が報告されています。実際、SURMOUNT-5 試験(Aronne ら, N Engl J Med, 2025)では、マンジャロ(チルゼパチド)が 72 週で平均 20.2%、ウゴービ(セマグルチド 2.4mg)が 13.7%の体重減少を達成し、肥満治療の歴史を塗り替えました。

しかし、実際にご相談を受けると、「どちらを選べばよいですか?」「いつまで打ち続ければよいですか?」「やめたらリバウンドするんでしょう?」というご質問が圧倒的に多くみられます。2026 年 5 月、Lancet 誌に掲載された SURMOUNT-MAINTAIN 試験(Horn ら, Lancet, 2026)、Nature Medicine 誌の EASO(欧州肥満学会)2026 年最新治療アルゴリズム(Ciudin ら, Nat Med, 2026)が、これらの問いに答えを示しました。

本コラムでは、最新の欧米エビデンスをもとに、マンジャロとウゴービの違い、それぞれが向いている方、副作用、そして最も重要な「使用期間と続け方」について、誤解を解きながら整理します。読み終える頃には、ご自分にとっての賢い選択が見えてくるはずです。

1. まず整理 ― マンジャロとウゴービは何が違うのか

両薬剤とも「GLP-1 受容体作動薬」と総称されますが、厳密には作用機序が異なります。ウゴービ(セマグルチド 2.4mg)は GLP-1 受容体のみに作用する「単一作動薬」、マンジャロ(チルゼパチド)は GLP-1 受容体に加えて GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)受容体にも作用する「デュアル作動薬」です。両ホルモンとも食後に消化管から分泌される「インクレチン」と呼ばれる消化管ホルモンで、食欲抑制、胃排出遅延、インスリン分泌促進などの作用を持ちます。

効果の差は、SURMOUNT-5 試験(Aronne ら, N Engl J Med, 2025)が明確な答えを出しました。糖尿病のない過体重・肥満成人 751 名を対象に、両剤の最大用量で 72 週間比較した結果、マンジャロは平均 22.8kg(20.2%)、ウゴービは 15.0kg(13.7%)の減量を達成し、約 47%の相対差でマンジャロが優れていました。25%以上の体重減少を達成した割合は、マンジャロ群 32%対ウゴービ群 16%でした。

この差は、2026 年 5 月発表の EASO 最新治療アルゴリズム(Ciudin ら, Nat Med, 2026)にも反映されており、純粋な体重減少効果ではマンジャロがウゴービの上位に位置づけられました。ただし、Aronne らが論文中で述べるように、ウゴービの 13.7%の減量は「過去のあらゆる非外科的介入を凌駕する効果」であり、両剤とも極めて有効な薬剤であることに変わりはありません。

2. 体重以外の「臓器を守る効果」 ― ここに大きな差がある

薬剤選択は「やせる効果」だけで決まるものではありません。EASO 2026 アルゴリズム(Ciudin ら, Nat Med, 2026)は、肥満に伴う合併症ごとに、どの薬剤のエビデンスが強いかを整理しました。心血管疾患の主要心血管イベント(MACE)抑制では、ウゴービ(セマグルチド)が現時点で唯一の確立エビデンスを持ちます。SELECT 試験(Lincoff ら, N Engl J Med, 2023)は、糖尿病のない過体重・肥満かつ心血管病歴を有する 17,604 名で、心血管死・心筋梗塞・脳卒中の複合エンドポイントを 20%減少させました。これは肥満症に対する GLP-1 療法が「心血管予後を改善する」と証明した画期的な試験です。一方マンジャロには現時点で同等の心血管アウトカム試験のデータはありません。

腎臓保護領域では、FLOW 試験(Perkovic ら, N Engl J Med, 2024)でセマグルチドが 2 型糖尿病かつ慢性腎臓病 3,533 名において主要腎アウトカムを 24%、心血管死を 20%減少させました。心不全(HFpEF)領域ではマンジャロが強く、SUMMIT 試験(Packer ら, N Engl J Med, 2025)で肥満を伴う左室駆出率保持型心不全 731 名における心血管死・心不全悪化の複合エンドポイントを 38%減少(ハザード比 0.62)させました。

脂肪肝(MASH)領域は両剤ともに有望です。ESSENCE 試験(Sanyal ら, N Engl J Med, 2025)では、ウゴービが MASH(F2-F3 線維化)患者 1,197 名のうち、72 週時点で 62.9%が脂肪肝炎の改善(プラセボ群 34.3%)、36.8%が線維化の改善(同 22.4%)を達成しました。マンジャロも SYNERGY-NASH 試験で脂肪肝炎改善を示しており、EASO 2026 では両剤が並列で「脂肪肝改善エビデンスあり」と位置づけられています。糖尿病予防では、SURMOUNT-1 の 3 年延長解析(Jastreboff ら, N Engl J Med, 2025)で、肥満+前糖尿病者におけるマンジャロが 2 型糖尿病発症を 94%抑制(ハザード比 0.06)するという驚異的な結果が出ています。

3. では、どちらを選ぶ? ― あなたの病態で決める考え方

EASO 2026 アルゴリズム(Ciudin ら, Nat Med, 2026)が示唆する選択の指針を簡潔に整理します。心筋梗塞や脳梗塞の既往がある方、ASCVD(動脈硬化性心血管疾患)リスクの高い方は、心血管イベント抑制の直接エビデンスがあるウゴービ(セマグルチド)が第一候補となります。慢性腎臓病(eGFR 低下、アルブミン尿)を合併する 2 型糖尿病の方も、FLOW 試験のエビデンスからセマグルチド(オゼンピック)が推奨されます。

一方、息切れや浮腫を伴う HFpEF(左室駆出率保持型心不全)、特に肥満を伴う心不全の方は、SUMMIT 試験のエビデンスからマンジャロ(チルゼパチド)が有利です。前糖尿病で「糖尿病だけは絶対避けたい」方、できるだけ大きな体重減少を目指したい高度肥満の方、内臓脂肪・脂肪肝が問題の方も、SURMOUNT-1 と SURMOUNT-5 の結果から、マンジャロが第一選択となりやすいでしょう。

ただし、実臨床ではこれら以外の要因も重要です。日本における薬価と保険適用(マンジャロは 2 型糖尿病のみ保険適用)、供給状況、患者様の自己注射への抵抗感、嘔気などの副作用への耐性、ライフスタイルへの適合性、そして最も重要な「継続可能性」です。当院では、これら全ての要素を総合的に評価し、患者様お一人おひとりに最適な選択をご提案しています。

4. 「やめたら戻る」は本当か ― SURMOUNT-MAINTAIN が出した答え

肥満治療における最大の関心事は「中止後のリバウンド」です。2026 年 5 月、Lancet 誌に掲載された SURMOUNT-MAINTAIN 試験(Horn ら, Lancet, 2026)は、この問いに最も明確な答えを示しました。本試験は 60 週間マンジャロ最大耐用量(10mg または 15mg)で減量を達成した 378 名の成人を、(1)マンジャロ最大耐用量継続、(2)5mg へ減量、(3)プラセボへ切替、の 3 群にランダム化し、追加 52 週間の体重維持効果を比較した世界初の試験です。

112 週時点での結果は予想通りでした。マンジャロ最大耐用量継続群は当初の減量を 96.5%維持(平均-21.9%)、5mg 減量群は 67.9%維持(平均-16.6%)、プラセボ切替群はわずか 42.8%維持(平均-9.9%)でした。プラセボに切り替えた群の 67%が、リバウンドが 50%を超えたためレスキュー投与を必要としました。これは「効果的だった治療を中止すると、肥満という慢性疾患は再発し進行する」ことを科学的に証明した結果です。

西らが 2026 年 BMJ 誌に発表したシステマティックレビュー・メタアナリシス(West et al, BMJ, 2026)でも、GLP-1 作動薬を中止した患者の多くで治療前の体重水準に向けたリバウンドが起こることが確認されています。高血圧治療薬、糖尿病治療薬と同様、肥満症治療薬も「治癒のための一時的な治療」ではなく、「コントロールを維持するための継続治療」と位置づけるべきだというのが、現代肥満医学の主流的見解です。

5. ずっと最大量を打ち続けるしかない? ― 「減量維持期」の新発想

「では一生最大量を打ち続けるしかないのか」という疑問に対しても、SURMOUNT-MAINTAIN 試験(Horn ら, Lancet, 2026)が新しい選択肢を示しました。5mg に減量した群でも、当初減量の約 68%を維持できた事実は重要です。これは「導入期(active weight loss)」と「維持期(weight maintenance)」では必要な薬剤強度が異なる可能性を示唆しています。つまり、最大用量で十分な体重減少を達成した後、副作用、費用、患者様の希望に応じて減量しつつ維持できる可能性があるのです。

Horn らは論文中で「最終的な維持用量こそが効果を決定する重要な因子であり、それまでの用量経過ではない」と述べています。これは過去の SURMOUNT-1 3 年データ(Jastreboff ら, N Engl J Med, 2025)で、5mg を継続した群が 12.3%の減量を 3 年間維持したという結果とも整合します。臨床的には、最大用量で導入し、目標体重達成後に 1 段階下の用量へ「ステップダウン」する戦略が現実的な選択肢として確立されつつあります。

ただし、5mg 群でも体重維持の「プラトー(横ばい)」には達しなかったため、長期的にはさらなる体重増加の可能性も否定できません。当院では、定期的な体重・腹囲モニタリング、生活習慣の継続的指導、副作用・併存疾患のフォローを組み合わせた個別化管理が不可欠です。当院では CT・超音波による内臓脂肪・脂肪肝の定期評価、HbA1c・脂質・血圧の包括管理を組み合わせ、患者様ごとに最適な「維持戦略」を提案しています。

6. 副作用と注意点 ― 安全に続けるための知識

両剤に共通する最頻副作用は消化器症状です。SURMOUNT-MAINTAIN 試験(Horn ら, Lancet, 2026)では、マンジャロ開始時の 60 週間で悪心 35%、便秘 31%、下痢 24%、嘔吐 17%が報告されました。多くは軽度〜中等度で、用量漸増期に集中し、徐々に軽減します。維持期に入ると消化器症状の頻度は大きく低下しました(維持期は悪心 6%、下痢 7%、嘔吐 6%)。NEJM で報告された頭対頭比較(Aronne ら, N Engl J Med, 2025)では、マンジャロのほうがウゴービよりやや消化器副作用が少ない傾向があり、これは GIP 受容体が嘔吐経路を逆制御する可能性が指摘されています。

重大な副作用としては、急性膵炎、胆石症、急性腎障害(脱水関連)、糖尿病性網膜症の急性悪化、稀ながら甲状腺髄様癌のリスクが添付文書に記載されています。膵炎既往、甲状腺髄様癌の家族歴・MEN2 型、重症胃不全麻痺、重症心不全(分類によっては慎重投与)などは禁忌または慎重投与となります。また、急激な減量に伴うサルコペニア(筋肉量減少)も重要な懸念で、適切な蛋白摂取(1.2〜1.6g/kg 体重/日)とレジスタンス運動の併用が推奨されます。

妊娠を計画する女性は中止が必要で、ウゴービは中止後 2 か月、マンジャロは 1 か月の間隔をあけることが推奨されます。また、Horn ら(Lancet, 2026)が報告したように、両剤の中止後は体重が比較的速やかにリバウンドするため、計画外の中断(処方切れ、海外旅行など)を避ける薬剤管理も重要です。当院ではこれら全ての側面を含めた包括的な患者教育と定期フォローを行っています。

7. 自費か保険適用か ― 日本での現実的選択

2026 年 5 月時点の日本国内での状況を整理します。マンジャロ(チルゼパチド)は 2 型糖尿病に対して保険適用ですが、「肥満症単独」では適用外です。ウゴービ(セマグルチド 2.4mg)は 2024 年から日本でも肥満症に対して保険適用となりましたが、BMI 35 以上、もしくは BMI 27 以上かつ高血圧・脂質異常症・2 型糖尿病いずれかを有し、食事・運動療法で効果不十分という厳格な条件を満たす必要と、厳しい「施設基準」があり、基本的に基幹病院での接種となる場合が多いです。

条件を満たさない方、より高い減量効果を希望される方、待機期間を短縮したい方は、自費診療での GLP-1 療法が選択肢となります。自費の場合、月額費用は概ね数万円程度(用量と医療機関により異なる)で、長期治療を考えると経済的負担は決して小さくありません。SURMOUNT-MAINTAIN(Horn ら, Lancet, 2026)が示した「中止すると 6〜7 割の患者でリバウンドする」事実を考慮すると、開始前に「長期的に続けられる経済プラン」を含めた相談が極めて重要です。

また、海外個人輸入や非正規ルートでの入手は、偽薬、品質不良、過量投与、副作用発生時の医療アクセス不全といった重大なリスクがあり、絶対に避けるべきです。当院では、用量設定、副作用管理、定期フォロー、運動療法・栄養指導との統合管理を含めた、安全で持続可能な肥満症治療を提供しています。

おわりに ― 「一生のお付き合い」を前向きに考える

高血圧、糖尿病、脂質異常症と同様に、肥満症もまた「慢性進行性疾患」です。SURMOUNT-MAINTAIN 試験(Horn ら, Lancet, 2026)と EASO 2026 治療アルゴリズム(Ciudinら, Nat Med, 2026)は、マンジャロ・ウゴービなどの GLP-1 療法が「短期間で痩せて終わり」ではなく、「継続することで体重と心血管・代謝・肝・腎機能のすべてを長期に守る薬剤」であることを科学的に裏付けました。

重要なのは、薬剤選択を「効果」「副作用」「合併症」「コスト」「継続可能性」のすべての観点から総合判断すること、そして開始後も定期的な評価とライフスタイル介入を継続することです。まんかいメディカルクリニックでは、内科・内分泌領域の専門知識を活かし、CT・超音波装置を用いた内臓脂肪・脂肪肝評価、HbA1c・脂質・腎機能を含む包括的血液検査、運動療法、栄養指導、そしてマンジャロ・ウゴービを含む GLP-1 療法の個別化処方を提供しています。日曜・祝日も診療を行い、救急診療科がある体制で、患者様の安全と継続を長期的にサポートします。

「自分はマンジャロとウゴービ、どちらが向いているか知りたい」「保険適用になるか確認したい」「すでに使っているが続け方を相談したい」「中止のタイミングを考えたい」—どんな段階のご相談でも歓迎いたします。最新エビデンスに基づいた、あなたに最適な肥満症治療をご一緒に設計しましょう。

FAQ ― よくあるご質問

Q1. マンジャロとウゴービ、結局どちらを選べばよいですか?

純粋な体重減少効果ではマンジャロ(チルゼパチド)がやや優れます(SURMOUNT-5 試験、Aronne ら, N Engl J Med, 2025:72 週で 20.2% vs 13.7%減量)。ただし、心筋梗塞・脳梗塞の既往がある方は SELECT 試験(Lincoff ら, N Engl J Med, 2023)で心血管イベント 20%減少が証明されたウゴービ(セマグルチド)が第一選択、肥満を伴う心不全(HFpEF)の方は SUMMIT 試験のマンジャロ、慢性腎臓病合併糖尿病の方は FLOW 試験のセマグルチドというように、合併症によって推奨が変わります。EASO 2026 治療アルゴリズム(Ciudin ら, Nat Med, 2026)では、患者様個別の病態に応じた選択を推奨しています。当院では合併症・保険適用・コストを総合評価して最適な薬剤を提案します。

Q2. やめたらリバウンドしますか? いつまで続ければよいですか?

残念ながら、中止すると多くの方でリバウンドが起こります。SURMOUNT-MAINTAIN 試験(Horn ら, Lancet, 2026)では、マンジャロを中止しプラセボに切り替えた群の 67%が、体重リバウンドが 50%を超えてレスキュー治療を必要としました。一方、最大用量を継続した群は当初減量の 96.5%、5mg 減量継続群は 67.9%を 112 週時点で維持しました。肥満症は高血圧や糖尿病と同じ慢性疾患であり、現在の科学では「治癒のための短期治療」ではなく「コントロール維持のための継続治療」と位置づけられます。ただし、目標体重到達後は用量を 1 段階下げて維持する戦略も選択肢で、患者様の希望・副作用・経済性に応じた個別化が可能です。

Q3. 糖尿病ではないのですが、マンジャロ・ウゴービは使えますか?

ウゴービ(セマグルチド 2.4mg)は 2024 年から日本で肥満症に対して保険適用となっていますが、BMI 35 以上、もしくは BMI 27 以上かつ高血圧・脂質異常症・2 型糖尿病のいずれかを有し、6 か月以上の食事・運動療法で効果不十分という条件を満たす必要があります。マンジャロは現時点で 2 型糖尿病のみ保険適用で、肥満症単独では適用外です。条件を満たさない方や、より積極的な減量を希望される方は自費診療での選択肢があります。SELECT 試験(Lincoff ら, N Engl J Med, 2023)では糖尿病のない過体重・肥満かつ心血管疾患を有する患者でセマグルチドが心血管イベントを 20%減少させたことから、糖尿病の有無にかかわらず科学的根拠は確立されています。当院ではご希望と適応の両面から丁寧にご説明します。

Q4. 副作用が心配です。安全に続けるにはどうすればよいですか?

最も多い副作用は消化器症状(悪心、嘔吐、下痢、便秘)で、SURMOUNT-MAINTAIN 試験(Horn ら, Lancet, 2026)では開始期の 60 週間で悪心 35%、便秘 31%、下痢 24%、嘔吐 17%が報告されました。多くは軽度〜中等度で用量漸増期に集中し、維持期に入ると大きく軽減します(維持期では悪心 6%、下痢 7%程度)。重大な副作用として急性膵炎、胆石症、急激な減量に伴うサルコペニア(筋肉量減少)があります。安全に続けるには、(1)用量をゆっくり漸増、(2)十分な水分摂取と消化に優しい食事、(3)蛋白質 1.2〜1.6g/kg 体重/日とレジスタンス運動の併用、(4)定期的な血液検査と医師面談、が重要です。当院では定期フォローと運動療法・栄養指導を一体的に提供しています。

Q5. 高額な治療を続けるのが負担です。安く済ませる方法はありますか?

肥満症治療薬は長期治療が前提のため、経済的負担は重要な課題です。第一に検討すべきは保険適用です。ウゴービは条件を満たせば 3 割負担で月額数千円程度に抑えられます。マンジャロは現在 2 型糖尿病のみ保険適用ですが、糖尿病があれば保険診療で使えます。SURMOUNT-MAINTAIN 試験(Horn ら, Lancet, 2026)が示したように、最大用量で目標体重を達成した後、5mg などの低用量に切り替えて維持する戦略も、コスト面で現実的な選択肢です。海外個人輸入や非正規ルートは偽薬・品質不良・重篤な副作用リスクがあり絶対に避けるべきです。当院ではご相談に応じて、保険適用判定、用量最適化、生活習慣強化による減薬の可能性も含めた現実的なプランをご提案します。

参考文献

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  2. Ciudin A, Baker JL, Belančić A, et al. Framework for the pharmacological treatment of obesity and its complications from the European Association for the Study of Obesity (EASO): 2026 update. Nat Med. 2026 May 13 [Online ahead of print]. doi:10.1038/s41591-026-04397-4
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  7. Sanyal AJ, Newsome PN, Kliers I, et al; ESSENCE Study Group. Phase 3 Trial of Semaglutide in Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis. N Engl J Med. 2025;392(21):2089-2099. doi:10.1056/NEJMoa2413258
  8. Jastreboff AM, le Roux CW, Stefanski A, et al; SURMOUNT-1 Investigators. Tirzepatide for Obesity Treatment and Diabetes Prevention. N Engl J Med. 2025;392(10):958-971. doi:10.1056/NEJMoa2410819
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※本コラムは医学的情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を代替するものではありません。
気になる症状がある方は医療機関にご相談ください。

記事監修者田場 隆介

医療法人社団 青山会 まんかいメディカルクリニック 理事長

医療法人社団青山会代表。兵庫県三田市生まれ、三田小学校、三田学園中学校・同高等学校卒業。 1997(平成9)年岩手医科大学医学部卒業、町医者。聖路加国際病院、淀川キリスト教病院、日本赤十字社医療センター、神戸市立医療センター中央市民病院を経て、2009(平成21)年医療法人社団青山会を継承。 2025年問題の主な舞台である地方の小都市で、少子高齢化時代の主役である子どもと高齢者のケアに取り組んでいる。

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