病気と健康の話

【高血圧】なかなか下がらない血圧の多くは体液過剰:体重・酒そして塩分―薬を飲んでも下がらない高血圧(治療抵抗性高血圧)と今日からできる対策:2026年 ACC 専門家コンセンサスより―

はじめに ― 「薬を増やしても下がらない」のはなぜか

「血圧の薬を 3 種類も飲んでいるのに、家で測るといつも 140 を超えている」高血圧は日本人に最も多い生活習慣病のひとつですが、薬を飲んでいても目標値に届かない方が大勢いらっしゃいます。米国では成人のほぼ半数が高血圧で、血圧が十分にコントロールされている人は 4 人に 1 人程度、2021〜2023 年のコントロール率は 22.2%にとどまると報告されています(Davis et al., JACC 2026)。
2026 年 10 月、米国心臓病学会(ACC)は『治療抵抗性高血圧(なかなか下がらない高血圧)』の診療を最適化するための専門家コンセンサス(Expert Consensus Decision Pathway)を JACC誌に発表しました(Davis et al., JACC 2026)。この文書の中で特に印象的なのが、「治療抵抗性高血圧の患者さんの多くは、むくみなどの明らかな徴候がなくても体液量が過剰(volume expanded)になっている」という指摘です。つまり、下がらない血圧の背景には、体の中に『塩と水』がたまりすぎている状態が隠れていることが多いのです。
本コラムでは、この ACC コンセンサスを軸に、2025 年 AHA/ACC 高血圧ガイドライン、2024年欧州心臓病学会(ESC)ガイドライン、さらに NEJM・JAMA・Lancet 系列誌に掲載された最新の臨床試験を加えた計 10 件の論文をもとに、「なぜ体液過剰が血圧を下げにくくするのか」「どのように見つけ、どう治療するのか」を、一般の方にもわかりやすく解説します。薬の種類を増やす前に見直すべきポイントが、きっと見えてくるはずです。

1. 「治療抵抗性高血圧」とは ― 薬を 3 種類飲んでも下がらない血圧

医学的に「治療抵抗性高血圧(resistant hypertension)」とは、作用の異なる 3 種類の降圧薬(そのうち 1 つは利尿薬)を、十分な量で飲んでいても血圧が目標を上回っている状態、あるいは 4 種類以上の薬でようやく目標に達している状態を指します。2025 年 AHA/ACC 高血圧ガイドラインでは、治療目標を 130/80mmHg 未満とし、可能であれば収縮期血圧 120mmHg 未満を目指すよう勧めています(Jones et al., JACC 2025)。この基準でみと、米国の高血圧患者さんのおよそ 8.5〜20%が『見かけ上の治療抵抗性高血圧』に該当し、心筋梗塞、脳卒中、末期腎不全、心血管死のリスクが高いとされています(Davis et al., JACC 2026)。
ただし、「下がらない」ように見えるすべてが本当の治療抵抗性ではありません。ACC コンセンサスは、診断の手順を RESIST(レジスト)という頭文字で整理しています。R=見せかけの抵抗性(測定方法の誤り、白衣高血圧、飲み忘れ)を除外する、E=血圧を上げる薬やサプリメントを見直す、S=生活習慣の改善を支える、I=降圧薬(特に利尿薬)を強化・最適化する、S=二次性高血圧を調べる、T=専門医へつなぐ、という流れです。実際、42 研究のメタ解析では、見かけ上の治療抵抗性高血圧の方の 37%で服薬が十分にできていなかったと報告され
ています(Davis et al., JACC 2026)。
注目していただきたいのは、RESIST の「I」の中身です。コンセンサスは、4 剤目・5 剤目を追加する前に「体液過剰(volume overload)に対処するよう利尿薬治療を最適化する」ことを明記しています。欧州の 2024 年 ESC ガイドラインも、治療抵抗性高血圧の多くでナトリウム(塩分)と水分の貯留が関わっていることを踏まえ、利尿作用をもつ薬の強化を中心に据えています(McEvoy et al., Eur Heart J 2024)。下がらない血圧への答えの多くは、「水」にあるのです。

2. 見えない「体液過剰」 ― むくみがなくても体に水はたまる

血圧は、ごく単純化すると「心臓が送り出す血液の量」と「血管の硬さ・細さ(血管抵抗)」の掛け算で決まります。体に塩分(ナトリウム)がたまると、それを薄めるために水分も保持され、血管内を流れる血液量(循環血漿量)が増えます。ホースに流れる水の量が増えれば内圧が上がるのと同じで、血圧は上昇します。さらに、体液が過剰な状態では、血管を広げるタイプの降圧薬(カルシウム拮抗薬や ARB など)を飲んでも、体が水をため込んで効果を打ち消してしまうことがあります。
重要なのは、この体液過剰が「見た目ではわからない」ことです。ACC コンセンサスは、治療抵抗性高血圧の患者さんの多くが、足のむくみや息切れといった明らかな体液過剰の徴候がないにもかかわらず、体液量が増えていると強調しています(Davis et al., JACC 2026)。
英国で行われた PATHWAY-2 試験の機序解析(Williams et al., Lancet Diabetes Endocrinol2018)では、治療抵抗性高血圧の患者さんの多くで血液中のレニン(体液が足りないときに増えるホルモン)が低く抑えられており体が「水は十分ある」と判断している状態、すなわち塩分・水分貯留が背景にあることが示されました。
体液量を数値で捉える試みも進んでいます。米国の慢性腎臓病(CKD)患者さん 5,384 人を追跡した CRIC 研究の解析では、生体電気インピーダンス(体に微弱な電流を流して水分量を推定する方法)で体液が多いと判定された群は、そうでない群に比べて収縮期血圧が 3.2mmHg高く、2 年間で体液量が増えた人ほど血圧も 3.0mmHg 余分に上昇していました(Ravi et al., Kidney360 2025)。研究者らは、体液量の評価に基づく治療の最適化が血圧管理を改善しうると結論づけています。

3. 黒幕はアルドステロン ― 塩と水をため込むホルモン

体液過剰を引き起こす最大の黒幕と考えられているのが、副腎から分泌されるホルモン『アルドステロン』です。アルドステロンは腎臓に働きかけてナトリウム(塩分)を体に取り込み、それに伴って水分も保持させます。本来は脱水時に体を守るための仕組みですが、これが過剰に働くと、体は必要以上に塩と水をため込み、血圧が下がりにくくなります。
PATHWAY-2 試験の機序解析では、治療抵抗性高血圧の患者さんの約 4 人に 1 人で、レニンが低いにもかかわらずアルドステロンが不適切に高いという状態が見つかりました。さらに、アルドステロン/レニン比が高い人ほど、アルドステロンの作用を抑える薬(スピロノラクトン)がよく効くことが示されています。スピロノラクトンを使うと、胸部の体液量の指標(胸郭内液体量)が 6.8%減少しましたが、他の降圧薬ではこうした変化はみられませんでした(Williams et al., Lancet Diabetes Endocrinol 2018)。著者らは「治療抵抗性高血圧の多
くは、アルドステロンの過剰による塩分貯留が原因である」とまとめています。
この延長線上にあるのが『原発性アルドステロン症』という病気です。副腎の腫瘍や過形成によってアルドステロンが自律的に過剰分泌される病気で、治療抵抗性高血圧の方には決して珍しくありません。ACC コンセンサスでは、アルドステロン拮抗薬を始める前に血液中のレニンとアルドステロンを測定し、原発性アルドステロン症を見逃さないよう推奨しています(Davis et al., JACC 2026)。適切に診断できれば、手術や専用の薬で根本的な治療が可能になる場合があります。当院では内分泌内科の視点から、こうしたホルモンの評価も行っています。

4. 第一の処方箋は「利尿薬の最適化」 ― 4 剤目を足す前に

体液過剰が原因であれば、最初に見直すべきは利尿薬です。ACC コンセンサスは、すでに飲んでいる 3 剤の組み合わせを最適化する方法として、(1)作用時間の短い薬を長時間効く薬に置き換える、(2)同じ系統でより強力な薬に切り替える、(3)複数の成分を 1 錠にまとめた配合剤を使って飲み忘れを減らす、という 3 点を挙げています。利尿薬については、ヒドロクロロチアジドの増量(1 日 50mg まで)や 1 日 2 回への分割、あるいはより作用の長いクロルタリドンやインダパミドへの切り替えが「さらなる降圧と体液過剰の管理に非常に有効」とされています(Davis et al., JACC 2026)。
腎機能が低下した方では「利尿薬は効かない」と長く考えられてきましたが、この常識も覆りつつあります。米国で行われた CLICK 試験では、推算糸球体濾過量(eGFR)15〜29 の進行した CKD と高血圧を合併する 160 人を対象に、サイアザイド系類似薬のクロルタリドンを 12週間投与したところ、24 時間平均の収縮期血圧がプラセボに比べて 10.5mmHg 低下し、尿中アルブミンも大きく減少しました(Agarwal et al., N Engl J Med 2021)。ACC コンセンサスは、進行した CKD ではサイアザイド系にループ利尿薬を追加することで、ナトリウム排泄と血圧コントロールに上乗せ効果が得られるとしています(Davis et al., JACC 2026)。
なお、日本ではクロルタリドンは現在ほとんど使用されておらず、インダパミド(ナトリックス)やトリクロルメチアジド(フルイトラン)、ARB との配合剤などが主な選択肢となります。利尿薬は尿酸値や血糖、電解質(ナトリウム・カリウム)に影響することがあるため、血液検査で安全性を確認しながら調整することが大切です。ACC コンセンサスも、交感神経を抑える薬や強力な血管拡張薬を追加する前に、まず利尿薬を最適化すべきだと明言しています(Davis et al., JACC 2026)。

5. 4 剤目の主役 ― スピロノラクトンとアミロライド

利尿薬を最適化しても血圧が下がらない場合、4 剤目として最も強いエビデンスをもつのが、アルドステロンの作用をブロックする『ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)』、代表的にはスピロノラクトン(アルダクトン A)です。英国の PATHWAY-2 試験プログラムでは、スピロノラクトンが β 遮断薬や α 遮断薬よりも明らかに優れた降圧効果を示し、機序解析でもその効果が体液量の減少を伴うことが確認されました(Williams et al., Lancet DiabetesEndocrinol 2018)。2024 年 ESC ガイドラインも、治療抵抗性高血圧に対してスピロノラクトンの追加を推奨しています(McEvoy et al., Eur Heart J 2024)。
同じ機序解析では、腎臓でナトリウムの再吸収を直接ブロックする利尿薬アミロライドも、収縮期血圧を 20.4mmHg 下げ、スピロノラクトン(18.3mmHg)と同等以上の効果を示しました(Williams et al., Lancet Diabetes Endocrinol 2018)。2025 年に JAMA 誌に発表されたランダム化比較試験でも、治療抵抗性高血圧 118 人を対象に、アミロライドはスピロノラクトンに対して非劣性(劣らない)であることが確認され、12 週後の家庭収縮期血圧の低下はそれぞれ 13.6mmHg と 14.7mmHg でした(Lee et al., JAMA 2025)。どちらの薬も「腎臓での塩分の再吸収を止める」という共通点をもち、体液過剰こそが治療標的であることを裏づけています。
これらの薬では、血液中のカリウムが上がりすぎる(高カリウム血症)ことに注意が必要です。ACC コンセンサスでは、開始後や増量後 1〜2 週間でカリウムとクレアチニンを測定し、その後も 3〜6 か月ごとに確認することを勧めています(Davis et al., JACC 2026)。日本ではアミロライドは発売されていませんが、スピロノラクトンのほか、エプレレノン(セララ)やエサキセレノン(ミネブロ)といった MRA が使用可能です。男性の女性化乳房などの副作用が気になる場合は、薬剤の選択を主治医と相談しましょう。

6. 新薬の時代へ ― アルドステロンの「工場」を止める薬

近年、アルドステロンが作られる段階そのものを止める『アルドステロン合成酵素阻害薬』という新しい薬が登場しています。国際共同第 3 相試験 BaxHTN では、2〜5 剤の降圧薬でも血圧がコントロールできない患者さんに、バクスドロスタット 1mg または 2mg を追加したところ、12 週後の座位収縮期血圧がプラセボに比べてそれぞれ 8.7mmHg、9.8mmHg 低下しました(Flack et al., N Engl J Med 2025)。ACC コンセンサスによれば、本薬は 2026 年に米国FDA で承認され、高カリウム血症は最高用量で約 3%に認められたとされています(Davis etal., JACC 2026)。
一方、ACC コンセンサスは新薬の位置づけについて慎重な姿勢も示しています。これらの新規薬剤は、MRA を含む標準的な 4 剤治療を最適化し、高血圧専門医に相談したうえで「真の治療抵抗性高血圧」と確認された場合に限って検討すべきとされています。高価であること、長期の心血管アウトカムのデータがまだ限られていることが理由です(Davis et al., JACC2026)。また、同じく新しく承認されたエンドセリン受容体拮抗薬アプロシテンタンでは、副作用として体液貯留やむくみが最も多く見られたことも指摘されています。
ここで興味深いのは、最新の新薬の多くが「アルドステロンを止める=塩と水を体から抜く」方向に開発されているという点です。逆に、体液貯留を起こしやすい薬(α 遮断薬、ミノキシジルやヒドララジンなどの血管拡張薬)は、それ自体が体液過剰を悪化させて血圧を下がりにくくする可能性があります(Davis et al., JACC 2026)。治療抵抗性高血圧の診療は、新薬の時代になっても『体液をいかにコントロールするか』という原点に立ち返りつつあるといえます。日本での承認や使用については、今後の動向を見守る段階です。

7. 食卓から「水」を抜く ― 酒・塩・体重を見直す

体液過剰の最大の燃料は、食事からの塩分です。米国で行われた CARDIA-SSBP 試験では、50〜75 歳の 213 人に高塩分食(ナトリウム約 5,000mg/日)と低塩分食(同約 1,270mg/日)をそれぞれ 1 週間ずつ摂ってもらったところ、低塩分食では収縮期血圧が約 8mmHg 低下し、約 75%の人で血圧が下がりました。注目すべきは、この効果が降圧薬を飲んでいる人でも飲んでいない人でも同様にみられ、その大きさは一般的な降圧薬 1 剤分に匹敵したことです(Gupta et al., JAMA 2023)。わずか 1 週間でこれだけの差が出ることは、塩分と体液と血圧が直結していることを示しています。
ACC コンセンサスでは、ナトリウム摂取量を 1 日 2,300mg(食塩約 5.8g)未満、理想的には1,500mg(食塩約 3.8g)未満とすることで、収縮期血圧が 6〜8mmHg 下がると見込んでいます(Davis et al., JACC 2026)。日本人の平均食塩摂取量は 1 日 10g 前後とされており、まだ大きな改善の余地があります。また、カリウムを 1 日 3,500〜5,000mg 摂ることも推奨されています。カリウムは腎臓からナトリウムを排泄する働きを助けるため、野菜・果物・豆類を意識してとることが『体の水抜き』につながります。
見落とされがちなのが、お酒と体重です。アルコールは交感神経やレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系を刺激し、飲酒量が多いほど血圧は上がります。ACC コンセンサスは、すべての成人にとって最も望ましいのは禁酒であり、飲酒する場合も 1 日の量を半分以上減らし、男性は 1 日 2 ドリンク(日本酒で約 1.5 合)、女性は 1 ドリンクまでに抑えることで、収縮期血圧が 4〜6mmHg 下がるとしています。また、肥満の方では体重 1kg の減量ごとに血圧が約 1mmHg 下がり、GLP-1 受容体作動薬による減量でも血圧低下が期待できると述べています(Davis et al., JACC 2026)。内臓脂肪はアルドステロン分泌や腎臓でのナトリウム再吸収を高めるため、減量は体液過剰そのものの改善にもつながります。2025 年 AHA/ACC ガイドラインも、減量・減塩・節酒を高血圧治療の基本と位置づけています(Jones et al., JACC 2025)。
さらに、食卓の塩を「カリウム入りの減塩塩(塩化カリウムを一部含む代替塩)」に替えるだけでも効果が期待できます。2 万人以上を約 5 年間追跡した SSaSS 試験では、代替塩を使った群で脳卒中が 14%、主要心血管イベントが 13%、死亡が 12%減少しました(Neal et al., N Engl J Med 2021)。ただし、腎機能が低下している方やカリウムを上げる薬(ARB、ACE 阻害薬、MRA など)を飲んでいる方は高カリウム血症の危険があるため、代替塩を使う前に必ず医師にご相談ください(Davis et al., JACC 2026)。

8. 正しく測り、体液を評価し、整える

治療抵抗性高血圧の診療は、まず「正しく測ること」から始まります。ACC コンセンサスは、診察室での測定手順の標準化に加え、家庭血圧の記録を診療に積極的に取り入れることを強調しています(Davis et al., JACC 2026)。当院では、家庭血圧手帳の記録をもとに、白衣高血圧や朝の高血圧、夜間高血圧の有無を確認したうえで、薬の調整を行います。
超音波検査(心臓や下大静脈の評価)、血液検査(腎機能、電解質、レニン・アルドステロン)と合わせることで、『見えない体液過剰』に迫ることができます。必要に応じて、原発性アルドステロン症や睡眠時無呼吸症候群などの二次性高血圧の精査や、専門医療機関へのご紹介を行います。
そして、運動療法は体液と血圧の両面に効く治療です。ACC コンセンサスでは、有酸素運動で収縮期血圧が 4〜8mmHg、レジスタンス運動で 2〜7mmHg、ハンドグリップなどの等尺性運動で 5〜10mmHg 低下が期待できるとしています(Davis et al., JACC 2026)。2025 年 AHA/ACCガイドラインも、減量、減塩、カリウム摂取、運動、節酒を組み合わせた生活習慣の改善を、薬物療法と並ぶ治療の柱と位置づけています(Jones et al., JACC 2025)。当院では運動療法の専門スタッフが、一人ひとりの体力に合わせたプログラムをご提案します。

おわりに ― 「薬を足す」前に

2026 年 ACC 専門家コンセンサスが示したメッセージは明快です。なかなか下がらない血圧の多くには、目に見えない体液過剰が隠れており、その背景にはアルドステロンによる塩分・水分の貯留が深く関わっています。だからこそ、4 剤目・5 剤目の薬をやみくもに追加するのではなく、まずは体重とアルコール、正確な血圧測定、服薬状況の確認、利尿薬の最適化、MRA の適切な使用、そして減塩とカリウム摂取という「体から塩と水を抜く」アプローチが治療の中心になります。
「薬を飲んでいるのに血圧が下がらない」「薬が増えるばかりで不安」――そのような方は、一度、高血圧を見直してみませんか。まんかいメディカルクリニックでは、内科・内分泌内科の専門性を生かし、InBody、超音波検査、CT などを活用した評価と、運動療法を組み合わせた総合的な高血圧診療を行っています。日曜・祝日も診療しておりますので、お仕事などで平日の受診が難しい方もお気軽にご相談ください。

FAQ ― よくあるご質問

Q1. むくみがないのに「体液過剰」ということはあるのですか?

あります。ACC コンセンサスは、治療抵抗性高血圧の患者さんの多くが、足のむくみなどの明らかな徴候がないにもかかわらず体液量が過剰になっていると指摘しています(Davis et al., JACC 2026)。体液の増加が数リットル程度に達するまで、見た目のむくみとして現れにくいためです。CKD 患者さんの研究では、生体電気インピーダンスで評価した体液量が多いほど収縮期血圧が高いことが示されています(Ravi et al., Kidney3602025)。血液検査や体成分分析、超音波検査などを組み合わせて評価することが大切です。

Q2. 利尿薬を飲むとトイレが近くなり、脱水が心配です。

降圧目的で使うサイアザイド系利尿薬は、心不全の治療で使うループ利尿薬に比べると尿量の増加は穏やかで、飲み始めの数日を過ぎると多くの方は気にならなくなります。
CLICK 試験では、進行した CKD の方でもクロルタリドンにより 24 時間収縮期血圧が10.5mmHg 低下しましたが、一方で一時的な腎機能の変化や低カリウム血症などには注意が必要とされています(Agarwal et al., N Engl J Med 2021)。夏場の大量の発汗時や下痢・嘔吐で食事がとれないときは、自己判断で続けず、医師にご相談ください。定期的な血液検査で安全に調整できます。

Q3. 減塩だけで本当に血圧は下がりますか?薬を飲んでいても効果はありますか?

下がります。CARDIA-SSBP 試験では、低塩分食をわずか 1 週間続けただけで、高塩分食に比べて収縮期血圧が約 8mmHg 低下し、その効果は降圧薬を飲んでいるかどうかにかかわらず同様にみられました(Gupta et al., JAMA 2023)。体液過剰が背景にある治療抵抗性高血圧では、塩分を減らすことで利尿薬やほかの降圧薬の効果も出やすくなります。ACC コンセンサスでは、ナトリウム 1 日 1,500mg(食塩約 3.8g)未満を理想的な目標としています(Davis et al., JACC 2026)。いきなり大幅な減塩が難しい場合は、汁物・漬物・加工食品を減らすことから始めましょう。

Q4. 治療抵抗性高血圧と言われたら、ホルモンの検査を受けたほうがよいですか?

おすすめします。PATHWAY-2 試験の機序解析では、治療抵抗性高血圧の約 4 人に 1 人でアルドステロンが不適切に高い状態が見つかり、アルドステロン/レニン比が高い人ほどスピロノラクトンがよく効くことが示されました(Williams et al., Lancet DiabetesEndocrinol 2018)。ACC コンセンサスも、MRA を始める前にレニンとアルドステロンを測定し、原発性アルドステロン症を除外するよう勧めています(Davis et al., JACC 2026)。
原発性アルドステロン症と診断されれば、手術などで根本的な治療ができる可能性があります。当院では採血でスクリーニング検査が可能です。

Q5. 新しい高血圧の薬(アルドステロン合成酵素阻害薬)はすぐに使えますか?

バクスドロスタットは BaxHTN 試験で、既存の薬に追加することで収縮期血圧をプラセボより約 9〜10mmHg 下げる効果が示されました(Flack et al., N Engl J Med 2025)。しかし ACC コンセンサスでは、こうした新薬は MRA を含む標準的な 4 剤治療を最適化し、専門医と相談したうえで「真の治療抵抗性高血圧」と確認された方に限って検討すべきとしています(Davis et al., JACC 2026)。日本での承認・使用は今後の課題です。まずは正
確な測定、服薬の見直し、利尿薬と MRA の最適化、減塩という基本を徹底することが、新薬以上に大きな効果をもたらす場合が少なくありません。

参考文献

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※本コラムは医学的情報の提供を目的としたものであり、個別の診断・治療を代替するものではありません。気
になる症状がある方は医療機関にご相談ください。

記事監修者田場 隆介

医療法人社団 青山会 まんかいメディカルクリニック 理事長

医療法人社団青山会代表。兵庫県三田市生まれ、三田小学校、三田学園中学校・同高等学校卒業。 1997(平成9)年岩手医科大学医学部卒業、町医者。聖路加国際病院、淀川キリスト教病院、日本赤十字社医療センター、神戸市立医療センター中央市民病院を経て、2009(平成21)年医療法人社団青山会を継承。 2025年問題の主な舞台である地方の小都市で、少子高齢化時代の主役である子どもと高齢者のケアに取り組んでいる。

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