病気と健康の話

【気管支拡張症】喘息に紛れる病気

近年注目されている気管支拡張症は、不可逆的に拡張した気管支と慢性気道炎症を特徴とする肺疾患です。代表的な症状である。慢性の咳と痰、そして繰り返す呼吸器感染症(増悪)のため、しばしば喘息やCOPDといった他の疾患と間違われることもあります。喫煙歴のない高齢者にも発症し、患者数は世界的に増加傾向にあります。

■慢性の咳と痰、繰り返す感染症

気管支拡張症の代表的な症状は、慢性的な咳と粘り気のある喀痰の産生です。患者の多くは毎日のように湿性咳嗽(痰のからんだ咳)を経験し、特に朝起床時に一晩かけて気道に貯まった痰を排出します。また息切れや喘鳴(ぜんめい:喘息様のヒューヒュー音)を伴うこともあり、長年の持続的な咳のために疲労感を訴える患者もいます。病状が進行すると全身の倦怠感や体重減少を来すこともあります。さらに、気道粘膜が損傷を受けているため、痰に血が混じるあるいは喀血(出血を伴う咳)を起こす例もあります。症状は気管支拡張症の増悪(急性悪化)時に一時的に悪化し、発熱や胸の痛みを伴うこともあります。これらの慢性症状により、患者の生活の質(QOL)は損なわれがちです。

■多岐にわたる原因

気管支拡張症を引き起こす原因は、非常に多岐にわたります。過去の感染症がきっかけとなることが多く、例えば小児期の重度の肺炎後や結核既往に続発する場合があります。また非結核性抗酸菌(NTM)感染症は近年増加している原因の一つです。そのほか、先天的あるいは遺伝性疾患としては、嚢胞性線維症(CF)を除けば、原発性線毛運動不全症(線毛の機能異常により気道クリアランスが低下する疾患)やα1アンチトリプシン欠乏症などが挙げられます。免疫機能の低下も重要で、HIV感染症や分類不能型免疫不全症(CVID)といった免疫不全状態では気管支拡張症のリスクが高まります。さらに自己免疫疾患や膠原病に伴う場合もあり、代表的なものに、関節リウマチや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)などがあります。気管支喘息やCOPDなど他の慢性肺疾患が基礎にあって、二次的に生じるケースも報告されています。またアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)といったアレルギー性疾患が原因となることもあります。このように、気管支拡張症は、いわば「極めて雑多な病態の症候群」とも言われ、多彩な成因を持つ病気です。したがって、患者ごとに背景となる原因疾患を丹念に調べ、可能であればその治療を行うことが重要になります(例えば非結核性抗酸菌症やABPAが見つかれば、それに対する治療を行う)。

原因不明

原因検索を行っても、明確な原因が突き止められない特発性の気管支拡張症も少なくありません。報告にもよりますが、全症例の約40%は特発性だったとされ、かなり多くの患者で原因不明のままです。特発性の傾向として、高齢の女性に多いことが指摘されています。原因が判明しないからといって、管理ができないわけではありませんが、原因疾患に対する治療ができない分、気道自体への対症的なアプローチ(痰のケアや感染予防など)が一層重要になります。また、診断がついていない潜在的な原因(例えば非結核性抗酸菌症など)が隠れていないか、経過中も注意を払う必要があります。原因究明には時間と労力を要しますが、多岐にわたる検査(血液・免疫学的検査、感染症の検査など)を行ってもなお原因が不明なケースが相当数存在する点で、診断自体の難しさを物語っています。

胸部CT検査

気管支拡張症の確定診断には、胸部CT検査が不可欠です。胸部X線写真では気管支拡張症を直接検出することは難しいため、高解像度の胸部CT(HRCT)によって気道の拡張所見を確認します。典型的には、気管支の内部径が隣接する肺動脈の径より太く見えるシグネットリングサイン(指輪状陰影)や、気管支壁の肥厚、末梢まで気管支陰影が途絶えず描出される所見などが認められます。造影剤を用いないHRCTで、こうした構造的変化を確認できれば診断は確定します。加えて、原因検索や重症度評価のために各種検査が行われます。特にFeNO(呼気一酸化窒素)が20.5 ppm未満で喀痰を伴う気管支喘息は、気管支拡張症を疑うことが推奨されています。血液検査では全血球計算(血球の数や炎症反応を見る)や、免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM、IgE)の定量を測定し、免疫不全やアレルギー素因の有無を確認します。また喀痰の培養検査も重要で、細菌培養に加えて、非結核性抗酸菌(NTM)培養や真菌培養を行い、慢性感染の原因微生物を特定します。さらに肺機能検査としてスパイロメトリー(喘息やCOPDの合併を調べるため、気管支拡張薬吸入前後の肺活量測定)も行われます。以上のように画像診断と検査全般から総合的に評価することで、気管支拡張症とその背景要因を診断します。

増悪の臨床的意義

増悪とは、気管支拡張症の症状が一時的に急激に悪化することを指し、多くは呼吸器感染症の誘発によって起こります。具体的には、普段より咳嗽や痰が著しく増加し、痰の色が濃く膿性になる、発熱や喘鳴の悪化、全身倦怠感の増強などがみられる状態で、治療介入(抗菌薬投与など)が必要となります。

その期間中は、もちろん患者さんの日常生活が大きく乱されますが、それだけではありません。増悪は肺機能の低下と生活の質(QOL)の低下に直結することが明らかになっており、頻回に増悪を繰り返す患者ほど、時間とともに呼吸機能が悪化し、日常生活動作が制限され、予後も不良となります。実際、「年間に3回以上増悪する」タイプの患者は“頻回増悪フェノタイプ”と呼ばれ、そうでない患者に比べて予後が悪い(将来的に死亡リスクが高い)ことが報告されています。特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)という難治性の菌に慢性的に感染している例や、COPDなど他の肺疾患を合併している例では、増悪時に入院や重症化が必要になる割合も高く、長期的な生命予後も不良です。

気管支拡張症増悪の主な誘因

細菌感染なかでも緑膿菌による気道感染は増悪を引き起こしやすく重症化しやすいことが知られています。それ以外にも、インフルエンザ桿菌(インフルエンザ菌)やブドウ球菌、モラクセラ菌など、様々な細菌が増悪の契機となります。
ウイルス感染ライノウイルス(普通感冒の原因ウイルス)やRSウイルス、コロナウイルス(COVID-19を含む)、インフルエンザウイルスなどが気管支拡張症患者の肺に感染すると、容易に気道炎症を悪化させ増悪を誘発します。実際に、2020年以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行期において、外出自粛やマスク着用など公衆衛生対策が徹底された結果、気管支拡張症患者の増悪発生率が40%以上減少したとの報告があり、ウイルス感染症が増悪の大きな引き金であることが裏付けられました。
大気汚染物質自動車排気などに含まれるPM2.5や二酸化硫黄、一酸化窒素などの汚染物質は慢性的な気道炎症を悪化させ、増悪を起こしやすくします。
気道の局所免疫反応の乱れ例えば、(慢性炎症の場に集まった)好中球から放出される酵素(エラスターゼなど)が気道組織を傷害したり、好酸球が増殖して過敏性炎症を惹起することで、気管支拡張症の病態が悪循環的に悪化し増悪に至ります。

このように、細菌・ウイルス感染や環境要因、宿主側の過剰な炎症反応が互いに影響しあい、気管支拡張症の増悪をもたらすのです。

■年齢とともに有病率が上がること

気管支拡張症の有病率(患者の割合)は、加齢に伴い上昇します。

若年層では比較的まれな病気ですが、高齢者では決して珍しくありません。国際的な疫学研究によると、18~34歳では人口10万人あたり約7人しかいないのに対し、75歳以上では10万人あたり812人にも達するとのデータがあります。

これは、高齢者で約0.8%の人が気管支拡張症を有する計算で、決して稀な疾患ではないことがわかります。こうした有病率上昇の背景には、高齢化社会の進行に加えてCT検査の普及による診断機会の増加、基礎疾患(COPDや喘息、免疫不全など)を抱える患者の増加など、複数の要因があると考えられています。また男女比を見ると、男性よりも女性に多い傾向が報告されています。前述の同じデータでは75歳以上の有病率が男性95人/10万人に対し、女性180人/10万人と女性に多い結果でした。国内に限定した明確な疫学調査データはまだ少ないものの、日本においても高齢女性を中心に患者数が増えていると推測されます。高齢になるほど罹患率が上がる理由は明確ではありませんが、加齢による免疫機能の低下や、嚥下機能低下(誤嚥による細菌性肺感染の増加)、女性ホルモンの影響など様々な仮説が考えられています。いずれにせよ、高齢化の進行に伴い今後さらに患者数が増加すると予測されており、社会的にも注目すべき疾患です。

■ワクチン接種の重要性

気管支拡張症の患者にとって、ワクチン接種は重要な予防策です。とりわけインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの接種は強く推奨されています。気管支拡張症そのものに対するワクチンは存在しませんが、インフルエンザウイルスや肺炎球菌による呼吸器感染症は増悪を招きやすく、重症化すると患者の生命に関わるためです。実際、他の呼吸器疾患(喘息やCOPDなど)においても、定期的なワクチン接種が急性増悪の予防や死亡率低下に寄与する確かなエビデンスがあることから、専門家は気管支拡張症患者にも同様の対策を推奨しています。ワクチンによる増悪抑制効果を直接検証した研究は限られていますが、限られたデータではワクチン接種群で増悪リスクが低減する傾向が示されており、リスクとコストの低さを考えても接種するメリットは大きいとされています。加えて、高齢者向けのRSウイルス(RSV)ワクチンも2023年から実用化されました。RSウイルスは気管支拡張症の増悪原因となる代表的なウイルスの一つであり、今後このRSVワクチンも積極的に活用することで増悪予防に役立つ可能性があります。そして忘れてはならないのが、新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンです。COVID-19も重い呼吸器感染症の一つで、気管支拡張症患者が感染すると深刻な増悪や合併症を引き起こす恐れがあります。幸いワクチンによって予防可能ですので、少なくとも基礎疾患を有する気管支拡張症患者や高齢患者は、定期的なインフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチン・COVID-19ワクチンの接種を検討すべきでしょう。

増悪予防

気管支拡張症の管理において、急性増悪の予防は予後改善の鍵となります。

増悪を繰り返すことで肺機能が低下しQOLも損なわれるため、「起こさせない」ための戦略が重要です。その筆頭に挙げられるのがマクロライド系抗菌薬の少量長期投与による維持療法です。マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)は、本来は細菌感染症の治療薬ですが、少量を長期にわたって連日または週数回内服することで、抗菌作用とは別に抗炎症・免疫調節作用を発揮し、気道の炎症を抑える効果があります。複数のランダム化比較試験とメタ分析の結果、こうしたマクロライド少量長期投与により気管支拡張症の増悪頻度が有意に減少し、痰の量が減って患者QOLが改善する可能性が示されました。あるメタ解析では、増悪発生率がおおよそ3分の1程度にまで低減したとの報告もあります。国際ガイドラインでも、「年間に3回以上の増悪」を起こす重症例では少なくとも6か月以上のマクロライド長期投与を検討すべきと強く推奨されています。日本の関連学会も共同で適正使用指針を発表し、臨床現場でも頻回増悪例にマクロライド療法が取り入れられています。

一方で注意すべき点もあります。マクロライド長期使用に伴い耐性菌(マクロライドが効かない菌)の出現リスクが懸念されるほか、一部の患者では心電図異常(QT延長による不整脈)や肝機能障害などの副作用が起こる可能性があります。そのため、「誰にでも漫然と使えば良い」というものではなく、明らかに増悪を繰り返している患者に限定して慎重に投与することが重要です。また、開始前には非結核性抗酸菌症(NTM症)の合併がないか精査することが推奨されています。特にMycobacterium avium複合体(MAC)症は気管支拡張症の原因としてしばしば合併しますが、この治療にマクロライド系薬(クラリスロマイシンやアジスロマイシン)が不可欠なため、未診断のNTM症がある状態でマクロライドを単剤長期投与すると耐性化を招き、いざNTM症治療が必要になった際に薬が効かなくなる恐れがあるためです。以上を踏まえ、マクロライド少量長期療法は効果とリスクを見極めながら適切に用いれば、気管支拡張症患者の増悪予防に大きな力を発揮する治療法といえます。

吸入抗菌薬の役割

マクロライド以外にも、気管支拡張症の増悪予防に用いられる維持療法があります。それが吸入抗菌薬療法です。

これは、抗菌作用をもつ薬剤を吸入投与(ネブライザー等で霧状にして吸い込む)することで、気道内に慢性的に潜んでいる病原菌の数を減らし、感染のコントロールを図る方法です。とりわけ緑膿菌(P. aeruginosa)に慢性感染している患者では、吸入抗菌薬の有用性が示唆されています。緑膿菌はしばしば気管支拡張症の難治化要因となり、増悪や肺機能悪化に直結するため、その定着を抑えることが治療上の目標となります。国際的なガイドラインでは、「緑膿菌の慢性感染があり年間に3回以上の増悪を繰り返す場合」には、吸入抗菌薬を少なくとも3か月間以上続ける維持療法を行うことを条件付きで推奨しています。具体的な薬剤としては、トブラマイシンやゲンタマイシンといったアミノグリコシド系抗菌薬の吸入液、コリスチン(コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム)の吸入液などが海外では用いられており、これらは主に緑膿菌などグラム陰性菌に効果を発揮します。吸入抗菌薬は全身投与に比べて気道局所で高濃度の薬剤を作用させることができ、副作用を抑えつつ慢性感染をコントロールできる利点があります。実際、吸入抗菌薬の長期使用により増悪頻度が有意に減少し、患者の症状やQOLが改善したとの報告もあります。

一方で、吸入抗菌薬は急性増悪の治療には用いません(増悪時は効果発現に時間がかかりすぎるため)。あくまで維持療法として位置付けられ、経口マクロライド療法と並ぶ増悪抑制手段となります。なお、日本では2023年現在、緑膿菌感染に対する吸入抗菌薬は未承認であり、使用するには医師の判断で治療目的の院内製剤等を用いる必要があります。しかし海外でのエビデンスを受け、国内でも吸入抗菌薬による治療を希望する患者に対しては治験等を通じて導入が試みられています。注意点として、吸入抗菌薬は非結核性抗酸菌(NTM)症には原則無効であり、NTM症を合併している患者ではまずそちらの標準治療(多剤併用療法)を優先すべきです。また、一部の吸入抗菌薬は気道刺激性が強く咳嗽反射を誘発しうるため、気道過敏性の高い患者では使用に耐えられない場合もあります。総じて、吸入抗菌薬療法は起炎菌の種類と患者の病態に応じて慎重に適応を判断すべき治療ですが、適切に用いれば増悪予防に有益なオプションとなります。

気道炎症への対処(吸入ステロイドは喘息・COPDの合併がない場合は推奨されない)

気管支拡張症では、主に好中球性の気道炎症がみられます。これに対する抗炎症策として吸入ステロイド薬(ICS)の使用が考えられますが、喘息やCOPDの合併がない単独の気管支拡張症では、ICSのルーチン使用は推奨されていません。

ICS(吸入ステロイド)は、喘息やCOPDでは炎症を鎮め増悪を減らす標準治療ですが、気管支拡張症のみの患者では十分な有効性が証明されていないからです。むしろ、ICSの長期使用による副作用(口腔カンジダ症や肺炎リスクの増加など)や、緑膿菌感染例での菌量増加の懸念が報告されており、安易な使用は慎むべきというのが専門家の共通見解です。実際、2022年に発表された観察研究では、緑膿菌を有する気管支拡張症患者でICSを使用している群は、使用していない群に比べて肺炎等のリスクが高まる傾向が示されました(因果関係の証明には至っていませんが傾向として要注意です)。

以上より、「喘息の合併がある場合」や「COPDを合併し気道過敏性が高い場合」にはICSが適応となりますが、それ以外では基本的にICSは使用しない、というのが現時点での推奨です。例外的に、好酸球性炎症(血中好酸球増多)を示す気管支拡張症患者ではICS投与で増悪を減らせる可能性が示唆された研究もあり、このあたりは今後の検証が待たれます。なお、喘息やCOPDを合併する気管支拡張症患者では、ICSに加えて吸入気管支拡張薬(LABAやLAMA)も有用です。それらの併存症がある場合には、ガイドラインに沿った各疾患の治療(吸入薬治療や生物学的製剤など)をしっかり行うことで、結果的に気管支拡張症の症状コントロールや増悪予防にもつながります。

■増悪時の治療

気管支拡張症の急性増悪が起きた場合、その治療の中心は抗菌薬(抗生物質)の投与です。

増悪の多くは細菌感染が引き金となっているため、悪化の兆候が見られたら早めに抗菌薬で細菌を叩くことが重要です。治療にあたっては、事前に行った喀痰培養の結果や過去の分離菌の情報を参考に、想定される起炎菌に有効な抗菌薬を選択します。例えば、緑膿菌を慢性気道感染している患者が増悪すれば抗緑膿菌作用を持つピペラシリン/タゾバクタムやセフタジジム等の抗生剤を、ブロンコエクト菌(非結核性抗酸菌の一種)の疑いがあればクラリスロマイシンを含むレジメンを、という具合に起炎菌ごとに適切な薬剤を用います。原因微生物が特定できない場合でも、地域で多い病原体を踏まえて経験的に抗菌薬を開始することが推奨されています。投与経路は患者の重症度によって、経口内服で外来治療するか、点滴静脈投与で入院治療するか判断します。軽症増悪で食事摂取もできる場合は内服薬で様子を見ますが、高熱や呼吸困難を伴う重症増悪では入院のうえ点滴治療が選択されます。治療期間は一般的に10~14日間が標準です。特に緑膿菌感染例では14日間の十分な期間、抗菌薬を継続することが推奨されます。一方、症状が比較的軽く非重症であれば10日未満の短期療法で済む場合もありますが、確固たるエビデンスは乏しく、患者ごとに経過を見ながら調整されます。治療効果の判定は、発熱の解消や症状の軽快、炎症マーカー(CRPなど)の改善傾向で行います。増悪時には抗菌薬投与に加え、十分な水分補給や去痰薬の併用、必要に応じて気管支拡張薬の追加など支持療法も行われます。また酸素飽和度が低下する場合は酸素投与を検討し、喀血がひどい場合は気管支鏡的止血やカテーテル塞栓術が必要になるケースもあります。適切な治療介入により、多くの増悪は数日から2週間程度で改善しますが、増悪を繰り返す患者では徐々に肺機能が低下していくため、やはり増悪自体を予防する管理が生涯にわたって重要となります。

参考文献

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